愛犬の下痢が続く理由とは?|元気でも見逃せない注意点と対処法
コラム
「愛犬が下痢をしているけれど、元気そうだし食欲もあるし、大丈夫かな…」と迷われたことはありませんか?
愛犬の体調に変化があると、飼い主様としては気になるものですよね。ただ、愛犬が普段通り元気そうに見えると、「もう少し様子を見ても大丈夫かも」と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、下痢は軽い胃腸の不調から、深刻な病気のサインまで、さまざまな原因で起こるものです。そのため、たとえ愛犬が元気に見えても、便の状態や環境の変化などをよく確認し、慎重に対応することが大切です。
今回は、犬の下痢の種類や、元気な犬が下痢を起こす原因についてわかりやすくご説明し、どのようなタイミングで動物病院を受診すべきかについて解説していきます。
■目次
1.犬の下痢にはさまざまな種類がある
2.元気や食欲があっても要注意!考えられる原因とは?
3.すぐに病院へ行くべき症状
4.家庭でできる対処法と日頃の予防策
5.まとめ
【犬の下痢にはさまざまな種類がある】
ひとくちに「下痢」といっても、便の状態にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる原因が考えられます。
愛犬の健康状態を適切に把握するためには、便の状態をしっかりと観察することがとても大切です。ここでは、下痢の種類とその特徴について詳しくご説明します。
・水様便
水のようにさらさらした便を指します。この状態は腸が強く刺激を受けていることを意味しており、主にウイルスや細菌感染、急性の胃腸炎などが原因となる場合が多いです。
特に短時間で大量の水様便が出た場合は、脱水症状を起こしやすいため、注意が必要です。
・軟便
柔らかいけれど形がある便です。軽い消化不良や食事の変更が原因で起こることが多いですが、軟便が長期間続く場合は、腸内環境の乱れやアレルギーが隠れている可能性があります。一時的なものかどうかを見極めることがポイントです。
・粘液便
ゼリー状の粘液が混ざった便です。このような便は、大腸に炎症が起きているサインであることが多く、腸内の感染や寄生虫が原因の場合があります。
粘液便は、病気の初期段階で見られることが多いため、見過ごさず注意することが重要です。
・血便
下痢に血液が混ざっている場合は、消化管に炎症や傷がある可能性が考えられます。
鮮やかな血が混ざっている場合は、大腸や肛門などの下部消化管に問題があることが考えられます。一方、黒っぽいタール状の便の場合は、十二指腸や小腸などの上部消化管に問題がある可能性が疑われます。
【元気や食欲があっても要注意!考えられる原因とは?】
愛犬が下痢をしていても元気や食欲があるからといって、放っておくのは危険です。
ここでは、元気な状態でも下痢が続く場合に考えられる主な原因をご紹介します。
・軽度の胃腸炎
一時的な食べ過ぎや、新しいおやつへの切り替えなどがきっかけで、軽い胃腸炎を引き起こすことがあります。この場合、下痢は1~2日程度で自然に治ることが多いですが、3日以上続く場合は注意が必要です。
・寄生虫
腸内寄生虫(例:回虫や鞭虫)は、元気に見える犬でも下痢を引き起こすことがあります。特に子犬や外出頻度の高い犬は感染リスクが高いので、定期的な糞便検査や駆虫薬の投与が必要です。
・ストレス
環境の変化や飼い主様の長時間の不在、大きな騒音などがストレスとなり、下痢をする場合があります。特に敏感な犬種や臆病な性格の犬は、ストレスが体調に影響しやすい傾向があります。
・食物アレルギー
特定の食材に対するアレルギー反応が、下痢として現れることがあります。この場合、適切な診断を受けた上で、食事療法を取り入れることが治療の鍵となります。
・年齢や犬種によるリスク
年齢や犬種も、下痢の原因に深く関わっている場合があります。
例えば、シニア犬は代謝機能が低下しているため、消化不良や下痢を起こしやすい傾向があります。一方で、子犬は消化器官がまだ十分に発達していないため、新しいフードや環境の変化に敏感で、下痢をしやすいことがあります。
【すぐに病院へ行くべき症状】
下痢が軽い場合は、様子を見ることもありますが、以下のような症状が見られた場合は早急に動物病院を受診してください。
・下痢が3日以上続いている場合
たとえ食欲や元気があるように見えても、長期間続く下痢は胃腸に大きな負担をかけます。また、感染症や腫瘍などの深刻な病気の兆候である可能性もあります。
・血便や嘔吐を伴う場合
血が混ざった便や嘔吐は、消化管の炎症や出血を示している可能性があります。特に、鮮やかな血や黒っぽいタール状の便が見られる場合は注意が必要です。
・元気の低下や脱水症状がある場合
元気がなく、目が落ちくぼんでいたり、皮膚をつまんでも元に戻るのが遅かったりする場合は、脱水症状が進行している可能性があります。特に、重度の脱水は命に関わる危険な状態です。
・子犬、高齢犬、持病のある犬の場合
子犬や高齢犬、または持病を抱えている犬は、免疫力が低いため、軽い下痢でも症状が急激に悪化するリスクがあります。
【家庭でできる対処法と日頃の予防策】
下痢が軽度で、食欲や元気がある場合には、家庭でできる対処法を試してみましょう。ただし、症状が悪化したり下痢が3日以上続いたりする場合は、迷わず動物病院で診察を受けるようにしてください。
<食事の調整>
軽い下痢の場合は、胃腸を休ませるために12時間ほどの絶食が効果的なことがあります。ただし、子犬や高齢犬では低血糖のリスクがあるため、絶食は避けてください。
絶食後には、消化に優しいフードに切り替えましょう。例えば、ふやかしたフードや療法食を少量ずつ与えるのがおすすめです。一度に多くの量を与えると胃腸に負担がかかるため、少量ずつ慎重に与えてください。
<水分補給>
下痢による脱水を防ぐために、愛犬がいつでも飲めるように新鮮な水を用意しましょう。
また、必要に応じて、効率よく水分と電解質を補給できるペット用の補水液を与えるのもおすすめです。愛犬が水を飲みたがらない場合は、少しぬるま湯にするなど工夫してみてください。
<日頃の予防策>
愛犬が健康な毎日を過ごせるよう、以下のような予防策を心がけましょう。
・適切な食事管理
愛犬に合った高品質のフードを選び、突然のフード変更は避けてください。フードを変える際は、少しずつ慣らしながら切り替えることが大切です。
・ストレス軽減
生活環境を整え、愛犬が安心できる空間を作るように心がけましょう。
留守番が多い場合は、愛犬が落ち着ける場所を用意してあげるとよいでしょう。また、散歩や遊びの時間をしっかり確保することで、不安やストレスを軽減することができます。
・定期的な健康診断
動物病院での健康診断を定期的に受けることで、寄生虫や病気の早期発見が可能になります。特に子犬やシニア犬は、定期検査を行うことで未然にトラブルを防ぐことができます。
【まとめ】
犬の下痢は、軽い体調不良から深刻な病気のサインまで、さまざまな原因が考えられます。元気そうに見えても、愛犬の体に負担がかかっている可能性があるため、慎重に対応することが大切です。
特に、下痢が数日続く場合、血便や嘔吐が見られる場合、または元気がなく脱水の症状が疑われる場合は、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
もし愛犬のことで気になることがあれば、無理に自己判断せず、当院へご相談ください。
当院では、下痢をはじめとした愛犬の健康に関するご相談をいつでもお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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