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鼻腔内腫瘍

腫瘍科

【病態】

鼻腔内腫瘍は、鼻腔(鼻の中にある空気の通り道)やその周辺に腫瘍が発生し、周囲の組織に影響を及ぼす病気です。この腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、犬や猫では悪性腫瘍が多い傾向にあります。
悪性腫瘍としては、腺癌、扁平上皮癌、リンパ腫などが挙げられます。これらは局所的に進行し、周囲の骨や軟部組織を破壊しますが、遠隔転移(腫瘍が体の他の部位へ広がること)は比較的少ないのが特徴です。

進行すると腫瘍が骨や眼窩(目の周囲)、さらには脳へ浸潤することがあり、呼吸困難や神経症状を引き起こす可能性があります。
腫瘍が鼻腔内にできると、鼻腔が圧迫されて呼吸が苦しくなるだけでなく、鼻汁の排出が妨げられることや嗅覚への影響も見られます。

鼻腔内腫瘍は犬や猫では比較的稀な病気ですが、高齢の犬や猫に発生する傾向にあります。
特に鼻の長い犬種シェットランド・シープドックなど)や、大型犬(ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなど)で発症率が高いとされています。

 

【症状】

鼻腔内腫瘍の症状は、初期の段階では軽微で見逃されやすいですが、進行するにつれて次第に顕著になります。

・鼻血(鼻出血)
片方の鼻孔(鼻の穴)からのみ血が出ることが多く、腫瘍が鼻腔内の組織を圧迫または破壊していることが原因と考えられます。

・鼻汁の増加
鼻から粘り気のある鼻汁が頻繁に出るようになり、膿が混ざる場合もあります。左右の鼻孔で鼻汁の量が異なることが特徴的です。

・くしゃみの増加
刺激物やアレルギーによる一時的なくしゃみとは異なり、頻繁で持続的なくしゃみが見られます。
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・顔面の腫れや変形
腫瘍の進行に伴い、顔の骨が押し広げられることで腫れや変形が生じることがあります。

・呼吸困難
腫瘍が鼻腔を塞ぐことで鼻での呼吸が難しくなり、結果的に口呼吸が増える場合があります。

・目の異常
腫瘍が眼窩に浸潤した場合、目が突出する、涙の量が増えるなどの異常が見られることがあります。

これらの症状が見られた場合は、できるだけ早く動物病院で診察を受けることが重要です。
鼻腔内腫瘍は進行が速いことが多いため、少しでも異変を感じたら早期に対応することが、愛犬や愛猫の健康と生活の質を守るために非常に重要です。

 

【診断方法】

鼻腔内腫瘍の診断は、症状や視診だけでは困難なため、専門的な検査が必要となります。

・身体検査
初診時には、鼻腔や顔の腫れ、鼻血、呼吸音の異常などの視診や聴診を行い、症状を確認します。また、目の突出や涙の増加が見られる場合には、腫瘍の進行が疑われます。

 

・画像診断(CT検査・X線検査)
鼻腔内腫瘍を特定するためには、画像診断が不可欠です。

CT検査は腫瘍の位置や大きさ、周囲の組織への浸潤を詳細に確認するための検査です。骨の破壊や腫瘍の広がりを立体的に把握することができ、手術の計画を立てる際にも役立ちます。

X線検査は腫瘍による骨の変形や鼻腔の空間の狭まりを確認します。CT検査に比べて得られる情報は限られますが、全身麻酔が不要で、その場で実施できる利点があります。

 

・内視鏡検査
鼻腔内に内視鏡を挿入し、腫瘍の有無や形状を確認します。この際、必要に応じて腫瘍の一部を採取して組織検査を行うことも可能です。

 

・組織生検(病理検査)
腫瘍が良性か悪性かを正確に診断するためには、組織生検が欠かせません。採取した細胞を病理検査で調べることで、腫瘍の性質を特定します。

 

・血液検査
全身の健康状態や腫瘍の影響を確認するために行います。特に手術や麻酔が必要な場合には、事前に血液検査を実施して体調を確認することが重要です。

 

【治療方法】

鼻腔内腫瘍の治療は、腫瘍の種類や進行度、愛犬や愛猫の年齢、健康状態によって異なります。

<放射線療法>

鼻腔内腫瘍の治療で最も一般的な方法です。腫瘍を縮小させ、症状を改善する効果があります。鼻腔内腫瘍は局所的に進行することが多いため、放射線療法が適しているケースが多いです。治療は複数回に分けて行われ、犬や猫に負担をかけないよう慎重に進められます。

 

<手術>

腫瘍が早期の段階で、取り除きやすい位置にある場合には外科的手術が行われます。しかし、鼻腔の構造は複雑であり、また腫瘍が周囲の組織に浸潤していることもあるため、手術が難しいケースが多いです。

 

<化学療法>

特定の腫瘍、特にリンパ腫に対しては抗がん剤を用いた化学療法が行われることがあります。化学療法は放射線療法と併用されるケースが多く、腫瘍の種類に応じて適用されます。

 

<対症療法>

症状を和らげ、愛犬や愛猫の生活の質を向上させるために行われる治療です。
鎮痛剤や抗炎症薬を使用して痛みや炎症を抑えるほか、鼻汁や鼻血の除去を行い、呼吸を楽にする処置が施されることがあります。また、二次的な感染症を防ぐために抗生物質が投与される場合もあります。
これらの対症療法は根本的な治療ではありませんが、日常生活の負担を軽減する重要な役割を果たします。

 

【予後】

鼻腔内腫瘍の予後は、腫瘍の種類や進行度、治療を開始するタイミング、選択される治療方法によって大きく異なります。

良性腫瘍の場合、完全に腫瘍を取り除くことができれば予後は良好です。ただし、再発のリスクがあるため、定期的な検診を受けて経過を観察することが必要です。
一方、悪性腫瘍では予後が厳しいことが多く、治療を行った場合でも平均生存期間は6か月から2年程度とされています。
放射線療法や対症療法は症状の緩和や生活の質の向上に繋がる場合もありますが鼻腔内腫瘍の完治は難しいのが現状です。

また、腫瘍の種類や脳を含む周囲の組織への浸潤の程度、放射線治療の目的が根治的なものか緩和的なものかによっても、生存期間は大きく異なります。
そのため、具体的な予後については主治医とよく相談しながら、適切な治療方針を決定することが重要です。

鼻腔内腫瘍は進行が速い場合が多く、早期発見と早期治療が愛犬や愛猫の予後に大きく影響します。日々の生活の中で注意深く観察し、鼻血や鼻汁の増加、呼吸の異常などわずかな変化でも気づいた際には、速やかに動物病院を受診することが大切です。

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