レッグ・ペルテス病|動物病院をお探しなら、長岡京市にある乙訓どうぶつ病院へお任せください。

症例紹介

MENU
tel:0759583933
診療時間
9:00~12:00
13:00~15:00
16:00~19:30
受付時間
各診療終了30分前まで
休診日
土曜昼・日曜午後・祝日

レッグ・ペルテス病

整形外科

【病態】

レッグ・ペルテス病とは、後ろ足の付け根にある「大腿骨頭(だいたいこっとう)」という部位に血液が十分に届かなくなることで、骨が変形したり壊死したりする疾患です。

通常、骨は血液から栄養を受け取りながら、成長や修復を繰り返しています。
しかし、レッグ・ペルテス病では、何らかの原因によって大腿骨頭への血流が妨げられ、骨の組織が徐々に壊死していきます。
その結果として、股関節の可動域が低下し、痛みや歩行時の異常が見られるようになります。

発症のはっきりした原因はわかっていませんが、遺伝的な要因が強く関係していると考えられています。特に、トイプードルやテリア種、ミニチュア・ピンシャーなどの小型犬種に多く見られる傾向があります。
発症は主に生後4か月から1歳前後の若齢期に多く認められ、大型犬での発症は非常にまれです。

 

【症状】

日常生活の中で飼い主様が気づきやすい行動の変化としては、以下のようなサインが挙げられます。

・後ろ足をかばうような歩き方が見られる
・散歩中に立ち止まることが増えた
・足を地面につけずに歩こうとする
・走るのを嫌がる、階段を避けるようになる

このような兆候が見られる場合、股関節に痛みや違和感を抱えている可能性があります。

さらに病状が進行すると、足をまったく地面につけなくなったり、抱き上げた際に痛がったりすることがあります。
また、後ろ足の筋肉が細くなる「廃用性筋萎縮(はいようせいきんいしゅく)」が見られることもあります。これは、痛みによって足を使わない状態が続くことで筋肉量が減ってしまう現象です。

進行がさらに進むと、大腿骨頭が潰れ、股関節の可動域が失われてしまいます。その結果、骨折に近い状態となり、強い痛みを引き起こすこともあります。

 

【診断治療】

レッグ・ペルテス病の診断は、いくつかの段階を踏んで行われます。
まず初めに、歩き方の確認(歩様検査)や股関節の触診によって、痛みや可動域の異常を評価します。股関節に痛みがある場合は、関節をわずかに動かしただけでも、「キャン」と声を上げるような反応が見られることがあります。

加えて、神経学的な検査も重要です。これは、椎間板ヘルニアや脳の異常など、他の神経性疾患との鑑別を行うために、反射や姿勢反応などを評価するものです。

最終的な診断には、レントゲン検査が用いられます。画像上では、大腿骨頭の変形や炎症の兆候が確認されます。ただし、発症のごく初期には、レントゲンだけでは異常がはっきりと写らない場合があります。

そのため、初期段階での確定診断が難しいケースでは、股関節を開いた状態で撮影する「フロッグレッグポジション」と呼ばれる特殊な撮影法を用いることがあります。さらに、必要に応じてCTやMRIなどの高度画像診断が行われることもあります。

 

【治療法】

レッグ・ペルテス病の治療は、大きく分けて内科的治療と外科的治療の2つがあります。

<内科的治療>
消炎鎮痛剤の投与やサプリメントの併用、運動の制限、さらには温熱療法などを組み合わせて、痛みの緩和を目指します。
ただし、レッグ・ペルテス病は進行性であるため、内科的治療のみで根本的な改善を図ることは難しい場合が多く、外科的治療が推奨されることが一般的です。

 

<外科的治療>
最も広く行われている外科的治療は、大腿骨頭切除術です。
これは、壊死した大腿骨頭を外科的に取り除き、周囲の筋肉や組織によって人工的に股関節の動きを補う方法で、痛みの軽減と機能回復が期待できます。

また、体重の重い犬種や骨の変形が重度の場合には、股関節全置換術(人工関節置換)が選択されることもあります。これは人工関節を用いて関節機能を再建する方法で、より高度な設備と技術を要します。

術後は、適切な鎮痛管理を行いつつ、リハビリテーションを継続的に実施していくことが非常に重要です。早期からの歩行訓練やストレッチなどのリハビリを行うことで、術後おおよそ1か月前後で日常生活への復帰が可能になるケースも少なくありません。

 

【予後】

適切な治療を早期に受けることができれば、日常生活にほとんど支障のない状態まで回復することが期待できます。
特に外科手術を実施した場合、術後1〜2週間は後肢を積極的に使うことが難しい時期が続きますが、その後、徐々に筋力が回復し、歩行機能も改善していきます。

一方で、治療を行わずに様子を見続けてしまうと、痛みが慢性化し、骨の変形が進行してしまうおそれがあります。その結果、関節の機能を十分に回復させることが難しくなるケースもあります。
こうした悪化を防ぐためにも、できるだけ早い段階での診断と対応が重要です。

なお、現時点ではレッグ・ペルテス病を確実に予防する方法は確立されていません。
そのため、特に1歳以下の小型犬を飼育されている飼い主様には、早期発見のために定期的な健康診断の受診をおすすめします。

もし「歩き方に違和感がある」「いつもと様子が違う」と感じられた場合には、気のせいと思わず、早めに動物病院へご相談ください。

 

■整形外科に関連する記事はこちら

WEB予約はこちら