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避妊・去勢手術

避妊・去勢について

去勢・避妊手術は、全身麻酔を行い、卵巣や子宮、または精巣を取り除く手術です。
手術を行うことで、発情期の鳴き声やマーキングなどの問題行動の抑制や、雄は精巣腫瘍や前立腺肥大症、会陰ヘルニア、雌は乳腺がんや子宮がん、子宮内膜症などの発症リスクを軽減するメリットもあります。
将来、子供を望んでいない場合は、お早めにご相談ください。

避妊・去勢手術のメリット

犬のメリット

元来、避妊・去勢手術は、意図しない繁殖の抑制や、生殖器系の疾病の治療を目的として行われていました。しかし近年では、生殖器関連の疾患や性ホルモンが関与する疾患の予防、犬の性的フラストレーションの軽減、飼育における飼い主さんの負担軽減などの目的も大きな割合を占めるようになってきています。

身体的リスクの減少 ♂精巣腫瘍肛門周囲腺腫
会陰ヘルニア前立腺肥大症
♀卵巣腫瘍子宮腫瘍子宮蓄膿症乳腺腫瘍
精神的リスクの減少 ♂♀性的フラストレーション
飼い主さんの負担軽減 ♂♀意図しない繁殖の抑制
♂性ホルモンに関連した、マーキング、マウンティング、攻撃性などの行動の抑制
♀発情時の出血の抑制
♂精巣腫瘍

精巣腫瘍は大きく分けて間細胞腫、セルトリ細胞腫、精細胞腫の3つに分類されます。2007年のアメリカにおける統計調査によると、発生率は7%と決して低いとは言えませんが、悪性率は約10%と比較的低い腫瘍です。ただし、良性であってもセルトリ細胞腫の場合は、30%の割合でエストロジェンというホルモンが大量に分泌されることにより、再生不良性の貧血を引き起こすことがあるので注意が必要です。また、精巣が睾丸内に下降しない、潜在精巣の場合では、セルトリ細胞腫と精細胞腫の発生率が10倍に上昇すると言われています。潜在精巣は遺伝性の疾患で、トイ種の犬は発生率が高いと言われています。老犬における発生率が高く、発生後の手術は麻酔リスクが高くなります。去勢手術を行うことによって、精巣自体を摘出することになるので、発生する可能性はなくなります。

♂肛門周囲腺腫

肛門周囲腺腫は、肛門の側にある肛門周囲腺の腫瘍で、良性のものがほとんどですが、再発率が高い腫瘍です。好発犬種は特にありませんが、老犬に多く、発生後の手術は麻酔リスクが高くなります。肛門周囲腺は性ホルモンによって発育するため、去勢手術によって性ホルモンを分泌する精巣を摘出すると、発生率が大きく低下します。

♂会陰ヘルニア

会陰ヘルニアは、直腸の周りの筋が委縮してヘルニア孔が発生し、そこを通って腹腔内の腸や脂肪、膀胱等が皮下に突出してしまう疾患です。腸がヘルニアを起こすと便が出にくかったり、膀胱がヘルニアを起こすと尿が出にくかったりします。中~老犬に多く、好発犬種はウェルシュコーギー、マルチーズ、ダックスフント、ボストンテリア、トイプードル等です。よく吠える犬や肥満の犬は腹圧が高まりやすいため、会陰ヘルニアの発生率が高くなります。直接、命に関わる疾病ではありませんが、外科手術を施しても再発することが多いです。去勢手術により、発生率は大きく低下すると言われています。

♂前立腺肥大症

前立腺肥大症は、膀胱周囲の前立腺の細胞が過形成を起こす疾患です。性ホルモンであるアンドロジェンが原因になることは知られていますが、その詳しい機序は未だよくわかっていません。未去勢の雄における発生率は、6歳で60%、9歳で95%とも言われていますが、程度によっては全く症状が見られない場合も多いです。進行すると、肥大した前立腺が尿道や直腸を圧迫し、便や尿が出にくくなります。治療は去勢手術が一般的で、症状が見られた後でも、去勢手術を行うことによって、肥大していた前立腺は小さく戻ります。好発犬種は特にありませんが、老犬に多く、発生後の手術は麻酔リスクが高くなります。去勢手術をすると、性ホルモンを分泌する精巣を摘出することになるので、発生率は大きく低下します。

♂性ホルモンに関連した、マーキング、マウンティング、攻撃性などの行動の抑制

前述の通り、生後6ヶ月~1年での性成熟に伴って、性ホルモンのバランスが大きく変化します。特に雄性ホルモンであるアンドロジェンが優位になる雄において、マーキング、マウンティング、攻撃性などの行動が見られることがあります。また、発情期の雌に出会うことにより、無駄吠えや食欲低下など、我を忘れて雌を追いかける行動をとることもあります。こうした行動は犬にとってはごく自然な行動ですが、飼い主さんにとっては望ましいものではありません。去勢手術を行うことにより、アンドロジェンの濃度が低下するため、これらの行動は、完全になくすことはできなくとも、頻度を低下させることができると考えられています。

♀卵巣腫瘍

卵巣腫瘍の種類は様々で、最も多いのが顆粒膜細胞腫と呼ばれるものです。顆粒膜細胞腫は良性のものがほとんどです。ただし、良性であっても増殖した顆粒層細胞がエストロジェンという性ホルモンを過剰に分泌してしまうと、嘔吐や腹水の貯留などの症状が見られることがあります。不妊手術を行っていない雌犬においての発生率は約1%で、不妊手術を行うことにより、卵巣自体を摘出することになるため、発生する可能性はなくなります。老犬における発生率が高く、発生後の手術は麻酔リスクが高くなります。

♀子宮腫瘍

子宮腫瘍は、子宮頚癌、平滑筋肉腫、子宮腺癌、などさまざまな種類がありますが、雌犬における発生率は約0.5%と稀な腫瘍です。不妊手術を行うことにより、子宮自体を摘出することになるため、発生する可能性はなくなります。老犬における発生率が高く、発生後の手術は麻酔リスクが高くなります。

♀子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、子宮内膜の増殖および細菌感染による炎症が起こり、子宮の中に膿液が貯留する疾患で、日常の診療において、雌犬に最も多くみられる生殖器系疾患です。不妊手術を行っていない雌犬での発生率は、10歳までで約25%で、中年の雌に多く、診断時には重篤なショック状態に陥っていることも少なくありません。症状は感染した細菌の種類によって異なりますが、元気消失、食欲不振、発熱、嘔吐、多飲多尿、腹囲膨満、外陰部からの排膿等が見られ、治療を行わなければ敗血症を起こして亡くなってしまうこともあります。治療は手術をして、卵巣と子宮を摘出することが一般的ですが、重篤な症状が出てからの麻酔はとてもリスクが高くなります。内科的治療法として合成ホルモン剤の投与がありますが、再発率が高く一般的ではありません。不妊手術を行うことにより、子宮自体を摘出することになるため、発生する可能性はなくなります。

♀乳腺腫瘍

乳腺腫瘍の発生率には諸説ありますが、避妊手術を行っていない雌犬では6歳で1%、8歳で6%、10歳で13%と言われています。発見された乳腺腫瘍の50%が悪性であり、さらに悪性のうちの50%が転移を起こします。性ホルモンと乳腺腫瘍の発生には関連があることが知られており、不妊手術を行うまでに迎えた発情回数によって乳腺腫瘍の発生率は変化します。初回発情前に不妊手術を行った場合の乳腺腫瘍発生率は約0.05%、初回発情後では8%、二回目の発情以降では26%と報告されています。老犬における発生率が高く、発生後の手術は麻酔リスクが高くなります。

♀発情時の出血の抑制

前述の通り、雌犬では発情の発現に伴って、陰部からの出血が認められます。飼い主さんにとって、特に室内飼育の場合では、その臭いと周囲への血液の付着は大きな問題となります。犬用のおむつなども販売されていますが、大抵の犬がおむつの着用には非協力的です。犬の発情期は約半年に1回で、そう頻繁ではありませんが、この出血が飼い主さんの負担になることは確かです。不妊手術を行うことにより、発情出血は起こらなくなります。

♂♀性的フラストレーションの抑制

犬の性成熟は個体差があるものの、生後6ヶ月~1年で完了します。性成熟が完了すると、雄ではアンドロジェンが、雌ではエスロトジェンが優位になり、行動や体つきに変化が見られるようになります。雄では他の雄に対する対抗心や、雌への性的な関心を強く示すようになり、雌では約半年に1回の発情の発現に伴って、陰部からの出血が見られ、発情期には雄へすり寄るような行動が出てきます。この行動の強弱は個体差があり、最初は雄を受け入れなかった雌も、発情期を経るごとに雄を受け入れるようになることがあります。これらの行動は生まれ持ってのものであり、コントロールするのはほぼ不可能です。特に、同居もしくは近隣に不妊手術を行っていない雌犬がいた場合、未去勢の雄犬のストレスはとても大きくなります。性的な欲求を満たすことができない場合は、避妊および去勢手術を行うことによって、欲求自体を排除することで性的なフラストレーションを解消することができます。

♂♀意図しない繁殖の抑制

本来、避妊および去勢手術は意図しない繁殖の抑制を目的に行われていました。雄と雌を同居で飼う場合、これらの手術の実施目的の第一は、繁殖の抑制となります。

避妊・去勢手術のデメリット

犬のデメリット

近年の避妊および去勢手術の実施率の上昇により、そのデメリットについても頻繁に論じられるようになってきています。しかし、当院には技術力のある獣医師がしっかりとしたインフォームドコンセントの上、手術を行いますので安心してご来院いただけます。

手術時のリスク ♂♀麻酔リスク
♂♀技術不足による失敗(結紮の不足による出血、尿管の結紮)
♂♀術中・術後の感染
手術後のリスク ♂♀骨肉腫リスクの上昇
♀尿失禁
♂♀肥満
♀尿失禁

尿失禁とは、膀胱や尿道に炎症などの異常がないにも関わらず、起きているときには尿を漏らさないが、眠りから覚める時や、興奮した時に尿が漏れることを言います。不妊手術を実施していない犬での尿失禁の発生は非常にまれで、不妊手術後の発生率は諸説あるものの、小型犬では稀で、大型犬では5-20%と報告されています。詳しい機序については明らかにされていませんが、卵巣を摘出することにより、エストロジェンの濃度が下がり、膀胱括約筋の緊張が低下するためと考えられています。治療が必要な場合はエストロジェン製剤の投与を続けることになります。

♂♀麻酔リスク

健康な犬でも全身麻酔には一定のリスクが伴っている。現在までに行われた、最も大規模な麻酔リスクの調査は、2002年から2004年にかけてイギリスの117の診療所における調査で、犬の死亡率は0.17%でした。そのうち、健康な犬での死亡率は0.05%で、病気がある犬での死亡率は1.33%でした。

♂♀技術不足による失敗

術者の技術不足による失敗には、結紮の不足による出血や尿管の結紮、酷い場合では子宮と間違えて腸管を切除した例などがあります。出血が続くと死亡する可能性もあり、尿管が結紮されていた場合も処置が遅れると尿毒症となり命の危険があります。腸管を傷つけた場合は腹膜炎や出血などの危険があり、緊急の処置を必要とします。これについては統計等も見つかりませんが、信頼できる獣医師を探すことが第一です。

♂♀術中、術後の感染

当院では、手術中に抗生物質の投与を行い、術後も内服で感染の防止を心がけています。お家でできることとしては、エリザベスカラーの着用や、散歩などの外出を控えること、定期的に消毒を行うことなどが挙げられます。

♂♀骨肉腫

骨肉腫は骨の腫瘍であり、非常に悪性度が高いです。診断時にはほとんどが肺や他の骨に転移しており、余命は1-2ヶ月であることが多いです。小型犬に比べ、ゴールデンレトリバー、ロットワイラー、ジャーマンシェパード、グレートデーンのような大型犬の発症リスクは非常に高いと言われています。避妊および去勢手術により、そのリスクは1.5-2倍に上昇すると言われています。これらの手術が骨肉腫のリスクを上昇させる機序については、今のところ明らかになっていませんが、性ホルモンが骨形成に大きな役割を担っていることから、その関連が示唆されています。

♂♀肥満

避妊および去勢手術と肥満の関係については諸説ありますが、性ホルモンの低下による基礎代謝量の低下に加え、食餌摂取量が変わらないことで肥満を招くとの考えが一般的です。肥満については、適正な運動量と食餌量を保つことによって、飼い主さんがコントロールすることが可能です。