ほけんの窓口…はありません
スタッフブログ
こんにちは、獣医師の石丸です。
長く続いた雨も上がり、今日はすがすがしいお天気ですね。
また木曜からぐずついたお天気になるそうですから、
溜まった洗濯物は早めに片づけてしまいたいところです。
私事ではありますが7月中旬から体調を崩してしまい、
お休みをいただくことも多く、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
超音波、胃カメラ、CT、MRI、救急車と、人生初めての体験を色々経験しました。
注射恐怖症の私には度重なる採血も点滴も拷問のようで、
改めて、診察室で震えている動物たちの気持ちがよく分かりました。
私は自分が注射をする分には全く平気ですが、自分がされる側になると、
動悸、息切れ、震え、ひどい時には嘔吐までするなんとも面倒な患者です。
色々検査していただいたものの、結局原因は分からずじまいですが、
少しゆっくりするお時間をいただき、何となく改善してきてはいます。
ご心配、ご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ございません。
時には暖かいお声掛けもいただきまして、ありがとうございました。
落ちた体力と筋力を取り戻すべく、少しずつ頑張っていきます。
さて、自分が診療を受け、検査される側に回ってみて一番印象に残ったことは、
人間の医療費って、めっちゃ安い!!
ということでした。
日本の健康保険の制度は、本当に素晴らしいですね。
普段私が飼い主さんにMRIの撮影をおすすめする際は、
動物の体重にもよりますが、最低でも6~7万円ほどを覚悟していただいています。
その感覚があったため、MRIを撮る日には万札を握りしめて病院に向かいましたが、
お会計にすすむと、なんと5千円ちょっと…何かの間違いかと思いました。
私は動物医療の感覚から、人間の医療を見たので「安い!」で済みますが、
一般的な飼い主様さんから見ると、動物医療の金額の高さは驚愕ですよね。
そんな皆さんの強い味方がペット保険。
最近加入されている方が増えているな、とは感じています。
皆さんはどうやって保険を選んでいるのでしょうか?
私も獣医としてお仕事をさせていただき、動物医療の経済的負担を目の当たりにして、
「いつか私もわんちゃんやねこちゃんを飼ったらペット保険に入らねば!」と、
色んな保険の契約内容や保険料について調べてみたことがありました。
ほどなく「あ、私獣医なんだから自分で診ればいいんだわ」と気付いてやめましたが。
ペット保険は主に通院、入院、手術の費用の何割かを保険会社が負担してくれるものです。
その割合は保険内容によって異なり、基本的には割合が大きいほど保険料は高くなります。
去勢避妊手術や、シャンプー、爪切り、サプリメント、予防薬、健康診断などは対象外になります。
最近ではそれに加えて障害、火葬や埋葬、賠償責任などのオプションもあるようです。

では、わんちゃんやねこちゃんにはどのくらいの医療費が必要なのでしょうか。
もちろん個体差は存分にありますが、平均すると以下のようになっています。

最初から最後まで毎月3900円なら負担も少ないのですが、
健康な時には費用はかからず、病気になるとまとめて必要になってくるのがやっかいです。
現在の動物保険の加入率は約6.3%と言われています。

とても低く思われるかもしれませんが、これは全体の飼育数中の割合であり、
新しく動物を飼った方の加入割合はもっと高いように感じます。
よく診察室内で「どの保険がおすすめですか?」と質問されることがあるのですが、
申し訳ありませんが獣医師の立場では、これはお答えできないことになっています。
ただ、診療の中でこれはおさえておいた方がいい!と私が感じたポイントを、
こっそりブログを見てくれた方にだけ、お伝えします。
ひとつ!
マメでない方は、後日請求の保険より窓口精算タイプがおすすめ!
私なんかは究極の面倒臭がり屋なので、後日請求の用紙を書くぐらいなら、
少額ならもう請求しなくていいかな、と思ってしまい、損をします。
いつも病院に通っていただいている方は皆さまとても真面目な方ばかりなので、
私のようなことにはならないかと思いますが…
私にご同意いただける方は、窓口精算が可能なタイプが良いのではないでしょうか。
どの保険が窓口精算可能なのかは、ご自身でお調べ願います。
ふたつ!
入ると決めたら早めにご加入手続きを!
「入ろうと迷っているうちにちょっと調子が悪くなっちゃって…」
たまに飼い主さんからお聞きする言葉です。
加入前に診断が下った疾患は、終生保険適用外になってしまうことがほとんどです。
私たちも治療のためには診断を下さないわけにはいきません。
まだ若いからといって安心せずに、早めのご検討をお願いいたします。
みっつ!
犬種、猫種ごとにかかりやすい病気の適用は絶対に注意!
先天疾患つまり生まれつきの病気は対象外の保険が多いです。
先天疾患の多い犬種を飼う際は、この点はよく調べてみてくださいね。
純血の猫種は全体的に病気が多いです。
品種のある猫ちゃんを飼う際は保険はあった方が安心です。
その他犬種や猫種によってかかりやすい病気があります。
よく話題に挙がるのが「膝蓋骨脱臼」です。
膝のお皿が外れやすい、というこの病気は小型犬に頻発します。
根本治療には手術が必要になりますが、両脚に症状が出てしまう事も多く、
その場合は片足ずつ手術を行うことになり、金銭的な負担も大きくなります。
手術をするかどうか、飼い主さんがとても迷われる病気の一つですが、
保険があれば、手術に踏み切る一助にはなるのではないでしょうか。
稀に、「膝蓋骨脱臼は対象外」という保険もありますので、小型犬を飼う方は要注意です。
…以上3点が、私からのアドバイスです。
皆さん機会があれば参考にしていただければ幸いです。
動物を飼う、ということはお金がかかりますね。
私も精算時の金額を見て、飼い主様に申し訳なくなることは多々あります。
金額的な制限がある場合は、遠慮なくお聞かせください。
できる事、できない事があるのは事実ですが、少しでもご協力できるように、
皆様の小さいご家族を大切に思う気持ちを少しでも形にできるように、
一緒に頭を悩ませ、ご相談させていただきたいと思います。
季節の変わり目、皆さん体調にはくれぐれもお気をつけくださいね。