里親になる、という選択肢
スタッフブログ
こんにちは、獣医師の石丸です。
最近ぐずついたお天気が続きますね。
ほころび始めた桜のつぼみが、雨露に負けてしまわないか心配です。
4月に入り、いよいよフィラリア予防も本格的に始まります。
皆さん早めにご来院下さいね。
3月上旬は長い間お休みをいただいておりました。
昨年の夏に続き、また皆様にご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございません。
暖かいご心配のお声掛けをいただき、恐縮しております。
仕事に復帰させていただいて早々に風邪をひき、先週の休日は寝込む始末。
色々な意味で、もう若くはない、と実感する毎日です。
気力も体力も、ペース配分を大切に過ごしていきたいと思います。
お休みをいただいていた間に、実家に戻る機会がありました。
今までたくさんの動物が仲間入りし、そして旅立っていった私の実家ですが、
現在は みるく という名前の男の子のシーズーが1匹おります。
私が実家に帰ろうと考える時、彼の存在がそのモチベーションの半分以上を占めています。
明るく、人懐こく、素直で、ほどよくおバカさんで、私にとっては世界一かわいい彼ですが、
10ヵ月齢で我が家に仲間入りするまでは、紆余曲折がありました。
皆さんはわんちゃん、あるいは猫ちゃんを飼おう!と決めて、どこへ行きますか?
とりあえずスマホを開いて、ペットショップを探しますか?
それともブリーダーさんでしょうか?
平成30年の飼育実態調査では、皆さんはこうして新しい家族をお迎えしているようですよ。
わんちゃんは、ペットショップが半分以上を占めているようですね。
対してねこちゃんはお外からお迎えする、または知人から譲り受けることが多いようです。
わんちゃんとねこちゃんで、結果が全然違って興味深いですね。
わんちゃんの23.4%、ねこちゃんの76.4%が保護や里親として、お家に迎えられています。
石丸家のみるくさんは、私がインターネットのマッチングサイトで見つけて里親になりました。
もともとはペットショップで販売されていた彼ですが、
運悪く、そちらのペットショップで何らかの感染症が発生したそうです。
当時ペットショップにいた動物は感染の有無に関わらず、
処分することになっていたそうですが、保護団体の方が助け出してくださったおかげで、
感染していなかった彼は生き延びることができました。
保護団体の方が里親さんを見つけてくださり、一度は大阪のお家に迎えられた彼ですが、
ここでも運悪く、そちらのご家族の娘さんが犬アレルギーを発症してしまったそうです。
彼を大切にしていたご家族の方々は、空気清浄機やお掃除など、
懸命に一緒に過ごせるよう工夫をしてくださったそうですが、娘さんの症状は悪化してしまい…。
お父さんが、マッチングサイトを利用して、新しい里親の募集をされたのです。
その当時の石丸家は、長年飼っていた女の子のシーズーを亡くして半年ほどが経った頃でした。
私の母は深いペットロスに陥って体調まで崩してしまっていました。
母を元気づけるには、新しい家族を迎えるしかない、と姉と兄と相談し、
獣医学生だった私は、良縁を求めて里親マッチングサイトに登録していました。
私たち自身も前の子のことが心に残っていたため、
まっさらな子犬をペットショップやブリーダーさんから購入する気にはなれませんでした。
マッチングサイトは便利ではありますが、やはり不安な点もたくさんありました。
見ず知らずの相手とのやりとりなので、急に連絡が取れなくなったことも何度もありました。
みるくさんをサイト上で初めて見つけた時、まずはその紹介文の長さにびっくりしました。
飼い主さんがこの子をとても愛しているのが、文章を通して伝わってきました。
小さいですが、こちらが募集されていた時の彼の写真です。
しっぽぶんぶんです。
その後飼い主さんと何度もメッセージのやり取りをして、我が家にお迎えすることに。
当日は飼い主さんがこちらの家まで送ってきてくださいました。
ケージ、お皿、おもちゃ、当面のごはん…全て持参での婿入りでした。
その一つ一つに飼い主さんの愛情を感じ、
手放さざるを得なかった気持ちを思うと切なくなりました。
前の子を大切にしていたが故に、新しいわんちゃんを迎えることに抵抗していた母ですが、
今では24時間ほぼずっとみるくさんと一緒に仲良く過ごしています。
みるくさんが家に来て、石丸家はしつけにてんやわんやでした。
前のわんちゃんは私の実家で生まれ、育ち、そのまま亡くなった子だったので、
基本的な生活習慣はほぼ全て、母犬から自ら学んでいたのです。
この子に特にしつけをした覚えもなく、何も苦労した記憶がありませんでした。
みるくさんは早起きで、朝方人が起きてこないと吠え、空腹に吐き、
ケージから出すと、家のいたるところでおしっこやうんちをしました。
今では彼は人が起きても平気で寝ていますし、
トイレでおしっこをして、ドヤ顔でご褒美のおやつを催促してきます。
この時、みるくさんに出会ってしつけの重要性を学んだことが、
私がトレーニングの勉強をしたいと思ったきっかけでもあります。
殺処分ゼロ、というのはとても素晴らしいことですが、里親になるには時間も手間も必要です。
保護犬、保護猫さんの中には、お家へ来るまでに辛い思いをして、
人に対して恐怖心があったり、人への接し方を知らない子もたくさんいます。
年令が高くなると、病気を持っている子も多いです。
マッチングサイトには、年齢の高い子や、
病気を患っている子がたくさん掲載されていました。
そういったページを見ながら、このような子たちを引き取ることこそ、
本当の意味での里親なのかもしれない、と葛藤したことを覚えています。
里親になるには、自分がどこまでその動物に労力をかけることができるのか、
冷静に考えた上で、無理をしすぎないことが大切ではないかと思います。
両親の年齢や負担を考えると、我が家には彼くらいが限界でした。
みるくさんは人が大好きなので、きっと周りの人に恵まれて過ごしてきたんだと思います。
それでも、この子がペットショップから保護団体に保護される頃、
どんなものを見て、どんな経験をして、どんな思いをしてきたのかを想像すると、
胸がきゅっと切なくなって、無性に抱きしめたくなります。
お互い昔は色々あったけど、今、一緒に居られて幸せだね、という、
なんだか熟年再婚カップルのような、そんな魅力が里親にはあると私は思います。
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