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わん生・にゃん生会議

スタッフブログ

こんにちは、獣医師の石丸です。

朝晩の寒さが身に染みる季節になって来ましたね。
上皇陛下の生前退位によりめでたく始まった令和元年も、あっという間に師走を迎えています。

 

私は秋の紅葉が大好きなのですが、もう紅葉も散り始めてしまいました。

皆様おすすめの紅葉スポットはどこですか?
京都は名所がたくさんあって迷ってしまいますね。

 

私は長岡京の光明寺と東山区の東福寺へ参拝しました。

 

盛りは少し過ぎていましたが、鮮やかな色合いの木々が目を楽しませてくれました。

紅葉を見て和歌を詠みたくなった、昔の人たちの気持ちも納得できる美しさでした。

 

散らねども かねてぞ惜しき もみぢ葉は 今は限りの 色と見つれば

 

古今和歌集に収められているこの歌は、散る運命だからこそより一層心惜しく感じられる紅葉の美しさを詠んだ和歌です。

 

伊勢物語の中で、春の桜の儚い美しさを詠んだ

 

散ればこそ いとど桜は めでたけれ うき世になにか 久しかるべき

 

という歌の意味にも少し通ずるところがありますね。

どちらも終わりがあるからこそ、より輝かしく大切に思える今を詠っています。

 

 

 

とはいえ終わり方も大切。

 

最近「人生会議」に関するポスターの話題が世間を賑わせています。

 

ポスターの妥当性はともかくとして、幸か不幸かこのポスターによって「人生会議」という言葉や概念が広く認知されるようになったのは事実です。

「人生会議」とは、「あなたの大切にしていることや望み、どのような医療やケアを望んでいるかについて、自ら考え、また、あなたの信頼する人たちと話し合うことである」と、厚生労働省のホームページには記載されています。

 

願わくば 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ

 

この有名な西行の歌も、見様によっては「人生会議」と言えなくもないかもしれませんね。

 

2018年の日本人の平均寿命は男女ともに過去最高を更新したそうですが、人生はいつ何が起こるか分かりません。
少しでも本人とご遺族にとって、後悔の少ない最期を迎えるためには必要なことなんだと思います。

まだ先のこと、と油断せずに、私も家族としっかり話し合っておきたいと思います。

 

さて、人生会議があるなら、動物たちにもわん生・にゃん生会議なんてものを作ってみてはどうでしょうか。

 

犬や猫を含め、私たちが飼育している動物たちのほとんどが、私たちより遥かに短い寿命を生きています。

大切な家族である動物たちが病気になった時、皆様はどのような医療やケアを望みますか?

 

まぁ…人間と違って、元気であろうがなかろうが、動物たち自身の意思を言葉で聞くことはできませんので、病気になる前から深刻に考える必要はないかと思いますが。

当院でも獣医師たちは毎日のように病を抱えた動物たちの飼い主様とわん生・にゃん生会議を行なっています。

 

もちろん病気が治ることを目指して私たちも治療に当たりますが、現在の獣医療では完全に治すことのできない病気があるのも事実です。

その際の治療法の選択は、動物たちの負担や飼い主様のご負担、そしてもちろん経済的なご事情も含めて、たくさんお話をして決めていく必要があります。

 

その選択肢の中に、「安楽死」が含まれているのも、人生会議とわん生・にゃん生会議の大きな違いかもしれません。

 

日本の人間の医療では安楽死は法律上認められていませんが、獣医療の領域での規定はありません。

動物病院によっては実施していない病院もありますが、当院では事前の診察と相談の上、獣医師が妥当であると判断した場合は、お引き受けしています。

なるべく動物自身と飼い主様にとって、穏やかな気持ちで最後のお別れができるように、可能な限りご自宅に訪問させていただいて、飼い主様と一緒に処置を行うことが多いです。

 

私自身も今まで数回ですが、安楽死処置を行ってきました。

 

安楽死に対して、治療をあきらめたという後ろめたいイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、私は正当な治療のひとつであると感じています。

 

世の中には、「うるさいから」「かわいくないから」「事情があって飼えなくなったから」といった理由で動物の安楽死を希望される方もいるようです。
そのようなお話を聞くと、「安楽死はひどいこと」という印象がついてしまうのは仕方ないと思います。

 

ただ、少なくとも私が今まで安楽死の相談を行ってきた飼い主様は皆様、小さな家族の命のあり方について、一生懸命に向き合って悩んでいらっしゃいました。

 

獣医療に関する知識だけなら、私たち動物病院スタッフは、飼い主さんより豊富に持ち合わせています。

ただその子がどんな子なのかを一番よく知っているのは飼い主様です。

 

病気の治療方針を決めるにあたって、その子が動物病院嫌いかどうか、食べ物の好き嫌いがあるかどうか、身体を触られることが苦手かどうか、痛みに対して敏感かどうか、といった情報は非常に大切です。

 

動物病院が怖い子には、頻繁な通院や入院は大きなストレスになるので、なるべく避けようかな。

食べ物の好き嫌いが激しい子には、食事療法や内服薬が難しいので他の方法を探そうか。

身体を触ると怒ってしまう子なら、処置を行う際に鎮静剤の投与をした方がいいかな。

痛みを我慢しがちな子なら、外見上は平気そうに見えてもどこかが痛い可能性があるな。

 

などなど、命がかかわる場合には四の五の言っていられない場合もありますが、その子の性格に合った治療を選択することで、治療効果が向上することもあるのです。

 

治せない病を患ったわんちゃんの飼い主様から、「この子は昔から食べることが何より大好きな子だから、食べ物を美味しく食べられなくなったら安楽死を考えたい」というお話をお伺いしたことがあります。

結局その子は寝たきりになってももりもりご飯を食べ、最期を迎える直前まで大好きなおやつを譲りませんでしたので、食欲が落ちるまでは、と懸命に介護されていた飼い主様は、「最期まで食べるもんだから安楽死するチャンスがなかった」と笑っていらっしゃいました。

「食べ物を美味しく食べられなくなったら安楽死」というこの方の判断に、わんちゃんへの深い愛情を感じたことが強く印象に残っています。

 

 

つまり、それが安楽死であろうと延命治療であろうと、飼い主様がその子のことを一生懸命考えた上で選んだ治療法が、他のどの治療にも勝る、最善の治療法だと、私は思っています。

飼い主様が少しでも後悔の少ない選択ができるように、わん生・にゃん生会議のメンバーとして、微力ながら私たち獣医師がお手伝いさせていただければと思います。

 

 

私も日々の診療の中で、「石丸家のみるくさんがこの病気になったら自分ならどうするかな」と考えることはよくあります。

自分の意見が飼い主様の判断を大きく左右することがないように、と気を付けてはいますが、同じ立場で考えることで見えてくる葛藤や悩みもあります。

 

ただ考えすぎると、すぐに実家に会いに行きたくなってしまうのが難点です。

私の気持ちもいざ知らず、先日みるくさんは父が落とした果物の柿の種を飲み込んでしまったようです。
結局腸に詰まることもなく、無事便から出たようですが、こちらの寿命が縮まる思いがしました。

誤食でわんちゃんやねこちゃんを連れてこられる飼い主様の不安な気持ちを、身をもって知ることができましたが、もう二度とやめていただきたいものです。

 

 

世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし

 

在原業平は、桜がなければ散る心配をしなくて済むのに、と詠いましたが、私たちも動物を飼わなければこのような日々の心配事はなくなるのかもしれません。

それでも桜の美しさが言葉に尽くせぬ感動をくれるように、私たちも動物たちからたくさんの幸せをもらって毎日を過ごしています。

 

いつか別れがくるかもしれないけれど、とりあえず今日は一緒に過ごせる今を大切に、今夜も美味しいごはんをもりもり食べてもらいましょう!

 

 

 


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