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症例紹介

気管虚脱

呼吸器科

【病態】

気管は筒のホースのような構造で、首の動きに併せて可動する為、硬さと柔軟さを併せ持つ臓器です。気管虚脱とは、このホースの構造を保つ気管軟骨や膜性壁が脆弱化して扁平化し、気管の内腔が狭くなる疾患です。原発的な気管虚脱の原因は明らかではありませんが、喉や肺の異常から二次的に気管虚脱が生じることもあります。

ヨークシャーテリア、ポメラニアン、マルチーズなどの小型犬でよく見られますが、柴などの日本犬でも見られます。

【症状】

乾いた咳が最も一般的な症状であり、他にもガチョウの鳴き声の様な呼吸音が特徴的です。咳は興奮時や運動時、または散歩時の首輪による頚部の圧迫でひどくなります。気管虚脱が悪化してグレードが進行すると、呼吸困難となり舌が紫色になるチアノーゼの症状が生じることもあります。

【診断・治療】

主にX線検査を用いて診断、グレード分類します。また気管内における腫瘍や感染など他の疾患を除外するために気管内視鏡検査やX線透視検査を実施することもあります。

気管虚脱の分類

  1. 動的頸部気管虚脱(Dynamic cervical tracheal collapse:DCTC)
    上気道閉塞に伴い、吸気時に虚脱し呼気時には気管径が開大する
    興奮時の吸気性異常呼吸音が主徴
  1. 原発性気管虚脱(Primary tracheal collapse:PTC)
    胸郭前口部気管が扁平化し、吸気時も呼気時も虚脱する
    重症化すると咳や両相性異常呼吸音が主徴
  1. 気管・気管支軟化症(Tracheobronchomalacia:TBM)
    末梢気道疾患による呼気努力によって、呼気時にのみ虚脱する
    持続性痰産生咳や呼気性異常呼吸音が主徴

グレード分類

グレード1 :内腔25%以下の狭窄、膜性壁のみ突出
グレード2 :内腔25-50%の狭窄、気管軟骨の軽度扁平化
グレード3 :内腔50-75%の狭窄、気管軟骨縁が触知可能
グレード4 :内腔完全消失または完全虚脱、膜性壁は底部に接する

治療は内科的治療が一般的ですが、根治ではなく症状のコントロールや緩和を目的としたものとなります鎮咳薬、気管支拡張薬や抗炎症薬を使用します。グレードが進行して呼吸困難や肺水腫を引き起こした場合には、ICUでの酸素吸入などの処置が必要となる場合もあります。内科的治療では症状がコントロールできない場合には、気管を広げる矯正器具を設置する外科手術を実施します。

【予後】

内科的治療では約70%で症状の改善が認められますが、風邪や怪我のように薬で完治するものではありませんし、病態の進行を予防することは困難です。

気管虚脱の中でも気管・気管支軟化症や動的頸部気管虚脱は気管外に原因がありますので、この原因疾患が除去できれば、処置後1ヶ月程度で気管虚脱が消失することもあります。まずはこの原因をしっかり突き止めることが大事でしょう。

また外科的治療は唯一根治的な治療ですが、合併症として咽頭麻痺や血栓症、気管壊死などを引き起こす可能性があります。獣医師とよく相談してから最適な治療法を決定していきましょう。