犬や猫のトイレの失敗は老化だけじゃない?|頻尿・失禁の原因と家庭でできる対策
コラム
「最近、トイレの失敗が増えてきた」「布団やカーペットが濡れていた」そんなちょっとした変化に戸惑っている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
年齢を重ねた愛犬や愛猫は、体の機能が少しずつ変化していきます。そのひとつとして、排泄のコントロールがうまくいかなくなることもあります。
「もう歳だから仕方ないのかな」と思われることも多いかもしれませんが、実は加齢だけが原因ではない場合もあります。
たとえば、泌尿器の病気や、認知機能の変化が関係していることもあるため、注意が必要です。
今回は、シニア期に入った犬や猫に見られるトイレのトラブルについて、よくある症状や考えられる原因、日常生活で取り入れやすい工夫、そして動物病院を受診するタイミングの目安まで、解説します。

■目次
1.シニア期によく見られるトイレのお悩みとは?
2.原因①:泌尿器の病気が関係していることも
3.原因②:神経や筋力の衰え、認知機能の変化
4.家庭でできるトイレ環境の工夫
5.「歳のせい」と決めつけず、早めに獣医師に相談を
6.まとめ|トイレの変化には理由があります
【シニア期によく見られるトイレのお悩みとは?】
年齢を重ねた犬や猫では、次のような排泄に関するトラブルが見られることがあります。
・寝ている間に尿が漏れてしまう(失禁)
・トイレの回数が増えた、または何度も排尿の姿勢をとる(頻尿)
・トイレの場所を間違えてしまう、あるいはトイレに間に合わず漏らしてしまう
こうした変化は、一時的なもののように見えることもありますが、もしも同じようなことが繰り返されるようであれば、愛犬や愛猫の体に何らかの変化が起きているサインかもしれません。
そのまま様子を見続けるのではなく、早めに気づいて対応してあげることが大切です。
【原因①:泌尿器の病気が関係していることも】
まず考えられるのが、泌尿器に関わる病気です。
排尿のトラブルが見られるときには、以下のような疾患が隠れている可能性があります。
◆ 慢性腎臓病
尿の量が増える、尿の色が薄くなる、そして飲む水の量が増えるといった変化が見られます。
シニア期の犬や猫に多く、進行性の病気のため、早期の発見とケアが大切です。
◆ 膀胱炎
トイレに頻繁に行くようになったり、少しずつしか尿が出なくなったりします。
また、排尿時に痛がるそぶりを見せることもあります。
◆ 尿石症(尿路結石)
尿道に結石が詰まると、排尿がしづらくなったり、血尿が出たりすることがあります。
特に猫では尿道が細いため、詰まりやすく、命に関わることもあるので注意が必要です。
加齢とともに腎臓や膀胱の機能はゆるやかに衰えていきますが、こうした病気によって症状が悪化している場合も少なくありません。
そのため、頻尿や失禁などのトラブルが続くようであれば、なるべく早めに動物病院で検査を受けましょう。
【原因②:神経や筋力の衰え、認知機能の変化】
年齢を重ねるにつれて、排尿に関わる神経や筋肉の働きは少しずつ衰えていきます。
こうした身体的な変化が、思いがけない排泄トラブルにつながることもあります。
たとえば、以下のような行動が見られることがあります。
・排尿のタイミングをうまくコントロールできず、漏らしてしまう
・トイレの場所を忘れてしまい、別の場所で排泄してしまう
・トイレに行こうとするが、途中で疲れて間に合わない
このようなケースでは、加齢による神経や筋力の低下に加えて、認知機能の変化が関係していることも考えられます。
いわゆる犬や猫の「認知症」と呼ばれる状態で、特にシニア期によく見られます。
夜中にそわそわ歩き回ったり、これまでと違う場所で排泄したりする行動が見られた場合は、認知機能の変化を疑ってみましょう。
▼認知症についてはこちらで解説しています
【家庭でできるトイレ環境の工夫】
動物病院で病気が見つからなかった場合でも、年齢に応じたトイレ環境の見直しはとても大切です。
少しの工夫を加えるだけでも、トイレの失敗を減らしたり、愛犬や愛猫の不安をやわらげたりすることができます。
◆ トイレの数を増やす
特に足腰が弱くなって移動がつらくなるシニア期には、すぐ近くにトイレがあると安心です。
各部屋に1つずつ設置しておくと、トイレまで間に合わないというトラブルも減らせます。
◆ 段差をなくす・スロープを設置する
関節や筋力が衰えてくると、トイレの入り口にある小さな段差でも負担になることがあります。
床との段差をなくしたり、スロープを取りつけたりすると、よりスムーズに出入りできるようになります。
◆ ベッドや寝床には防水シートを敷く
失禁がある場合には、寝床に防水シートを敷いておくことで清潔を保ちやすくなります。
お洗濯の手間も減り、飼い主様の負担も軽くなります。
◆ 夜間やお留守番のときは、おむつやマナーベルトの使用も検討を
どうしてもトイレが間に合わないときのために、おむつやマナーベルトの使用を検討してみるのもひとつの方法です。
正しく使えば、愛犬や愛猫のストレスやお部屋の汚れを防ぐことにもつながります。
何より大切なのは「怒らないこと」、そして「安心して排泄できる環境を整えてあげること」です。
失敗してしまっても責めるのではなく「どうしてかな?」とやさしく寄り添う気持ちを持ち続けてあげてください。
【「歳のせい」と決めつけず、早めに獣医師に相談を】

トイレの失敗や排尿の変化が見られると、「もう高齢だから仕方がないのかも」と思ってしまう飼い主様も少なくありません。
しかし、そうした変化は背景に病気が隠れている場合や、治療・ケアによって改善できる可能性があることも多いです。
以下のような症状が見られるときは、早めに動物病院に相談しましょう。
・頻尿や失禁が数日以上続いている
・血尿が出ている、または尿に異常なにおいがある
・トイレの回数や行動パターンが急に変わった
・食欲や元気の低下も同時に見られる
また、年齢を重ねるにつれて体の状態はゆっくりと変化していきます。
定期的な健康診断を受けておくことで、病気の早期発見や予防にもつながり、安心して日々を過ごすことができます。
【まとめ|トイレの変化には理由があります】
犬や猫がトイレを失敗してしまうのは、決してわざとではありません。
加齢による体の変化、泌尿器の病気、認知機能の低下など、そこにはきちんとした理由があります。
だからこそ、「歳だから仕方ない」と決めつけず、飼い主様がそのサインに気づいてあげることがとても大切です。
そして、暮らしの中で少し環境を整えてあげたり、気になる症状があれば早めに受診したりすることで、愛犬・愛猫にとっても安心できる毎日につながっていきます。
シニア期を迎えた愛犬・愛猫とこれからも穏やかで幸せな時間を過ごしていくために、気になる症状があればお早めに当院までご相談ください。
飼い主さんと動物たちのえがおのために
京都府長岡京市「乙訓どうぶつ病院」
~乙訓地域(長岡京市、向日市、大山崎町)、大原野、伏見、久御山、島本町~
診療案内はこちら





