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喉頭麻痺

呼吸器科

【病態】

喉頭は、披裂軟骨と声帯ヒダによって声門という発声器官を形成しています。

声門は吸気時に左右に広がって空気の流れを確保するほか、発声時に声帯ヒダを振動させることで鳴き声を形成し、食べ物を飲み込む時には声門が閉じて誤嚥を防止しています。

 

喉頭麻痺は、喉頭を支配する反回神経や、反回神経の神経伝達障害で、喉頭を形成する輪状被裂筋などの動きが妨げられることにより、喉頭の運動が正常に行われない状態を指します。

 

喉頭麻痺には、若齢で発症する先天性喉頭麻痺 (遺伝的な関与が示唆されているが詳しい原因は不明)と、中〜高齢になってから発症する後天性喉頭麻痺が存在しますが、後天性喉頭麻痺についても多くは原因不明であり、何らかの原因で反回神経に障害が起きているのではないかと考えられています。

 

その他の原因としては、甲状腺機能低下症副腎皮質機能低下症 (=アジソン病)などの内分泌性疾患や、重症筋無力症などの自己免疫疾患の関与も疑われています。

 

【症状】

初期の喉頭麻痺は、声門が吸気時に左右に十分広がらず空気の流れを十分に確保できないため、軽度の呼吸障害がみられます。

具体的には下記のような初期症状が現れます。

 

運動時にゼーゼーやガーガーといった異常な喘鳴音が聞こえる (ストライダー)

鳴き声が変化する

水を飲んだり、フードを食べた時にむせるような咳をしたり、口に入ったものを吐き出す

 

そして症状が進行すると、十分な空気を体内に取り込めなくなり、以下のような重度の呼吸障害による症状がみられます。

 

運動をしてもすぐに苦しそうな呼吸をする

安静時でも呼吸が荒くなる

チアノーゼ (血液中の酸素が不十分で舌や皮膚の色が青紫色に変色する)

高体温、失神 、熱中症 (呼吸によって体内の熱をうまく放散できないため)

 

【診断・治療】

喉頭麻痺の確定診断には、喉頭鏡を用いて呼吸時の喉頭の動きを確認することが重要です。

正常な喉頭は、披裂軟骨と声帯ヒダが吸気時に外側方向に開きますが、喉頭麻痺では披裂軟骨と声帯ヒダが、吸気時に外側方向に開かない様子が観察できます。

(呼吸音の異常や肺音だけでは喉頭麻痺を診断することはできません。)

 

また、喉頭麻痺の原因となりえる甲状腺機能低下症や、副腎皮質機能低下症などの内分泌性疾患、重症筋無力症などの自己免疫疾患の関与が疑われる場合は、それらの有無を確認するために血液検査などの追加検査が必要です。

誤嚥性肺炎がないか確認するために胸部レントゲン検査を行うこともあります。

 

そして、残念ながら喉頭麻痺の根本的な治療薬は存在しません

そのため、喉頭麻痺の原因となりえる基礎疾患がある場合は、それらの疾患に対する治療をまず行います。

喉頭麻痺による呼吸障害が軽度の場合は、運動制限や、過剰なストレスをかけない、ダイエットを行うなどの生活習慣の改善が有効です。

 

呼吸障害の症状が重度な場合は外科的治療が適応となります。

手術法としては、声門を広げるための片側性披裂軟骨側方化術や、喉頭部分切除術などがあります。

 

【予後】

先天性喉頭麻痺と後天性特発性喉頭麻痺に関して、それぞれの予後は大きく異なります。

先天性喉頭麻痺に関しては、予後が一般的に不良であり、発症すると2年以内に死亡する可能性が高いとされています。

 

一方で、後天性特発性喉頭麻痺の場合、予後は通常良好です。特に、片側性披裂軟骨側方化術という手術を行うことで、誤嚥性肺炎がなければ、80〜90%の犬が長期間にわたって良好な経過を示すと報告されています。

しかし、最近の研究では、この病態ゆっくり進行する全身性神経筋障害の一症状である可能性が指摘されています。そのため、手術後約1年で神経筋疾患や運動失調、筋萎縮、後肢麻痺、前庭障害などの進行性神経症状が出現することもあります。

 

猫における喉頭麻痺の予後は一般的には良くないとされていますが、合併症は少なく、術後の再発も少ないと報告されています。

 

また、喉頭麻痺を持つ犬や猫は治療後も誤嚥性肺炎のリスクが高く、生涯にわたって与えるフードの工夫や、定期的な検査が必要になるため、長い目で病気と付き合うことが大切です。

喉頭麻痺の治療と管理は個体によって異なるため、獣医師の専門的な診断と治療計画が必要です。

 

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