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乳び胸

呼吸器科

【乳び胸とは】

乳び胸(乳糜胸:にゅうびきょう)は、「乳び」と呼ばれる白く濁ったリンパ液が、胸腔(胸の中)に溜まり、肺がうまく膨らまなくなる疾患です。
「呼吸が荒い」「咳が出る」といった症状が現れ、呼吸を助けるために胸やお腹の筋肉を強く使うようになるため、普段の生活の中でも明らかな変化が見られます。

乳び胸の原因は外傷、腫瘍、心臓病、胸管やリンパ管の異常などさまざまで、犬にも猫にも発症します。中には原因が特定できない「特発性乳び胸」もあります。

慢性化すると胸膜が厚くなり、いったん肺が押しつぶされた状態が固定されてしまうため、改善に時間がかかるケースもあります。
このため早期の発見と適切な治療がとても重要になります。

 

【症状】

乳び胸でよくみられる症状には、呼吸のしづらさを示すサインが多く含まれています。

 

<乳び胸が疑われるサイン>

・呼吸が浅い、速い
・苦しそうにしている
・落ち着きがなく座り直す
・横になろうとしてもすぐ起き上がる
・散歩を嫌がる、疲れやすい

息が浅い、速い、口を開けて呼吸をするような様子が出てくると、胸腔内に相当量の液体が溜まっている可能性が高くなります。
また、以前は喜んでいた散歩を嫌がる、遊びの途中ですぐに疲れるなど、活動量の低下が目立つこともあります。

咳が出る場合もありますが、乳び胸の全てで咳が出るわけではありません。
食事の様子にも変化がみられ、苦しくてゆっくり食べる、立ったまま固まってしまうなど、些細な変化がヒントになることもあります。

胸に溜まる乳びの量によって症状は変わるため、「いつもより呼吸が速い気がする」
「落ち着かず座っていられない」といった日常の変化が、とても大切な手がかりになります。

 

【診断】

乳び胸が疑われる際には、まず身体検査で呼吸音を丁寧に確認します。肺が圧迫されていると、聴診で呼吸音が弱く聞こえることがあります。

診断の中心となるのはレントゲン検査で「肺が広がらずに白く見える」「胸腔内に液体が貯留している」などの特徴が確認できます。
さらに超音波検査で胸水の量や胸管の状態を評価し、必要に応じて心臓の働きも調べます。

 

<胸腔穿刺>
胸腔穿刺(きょうくうせんし)とは胸腔(胸の中)にたまった液体や空気を、針やカテーテルを使って外に抜く処置です。
採取した胸水を調べると、白く濁った乳びが確認され、これが診断の決め手となります。
そのうえで背景に腫瘍や心疾患が隠れていないかも確認します。

 

【治療】

乳び胸の治療でまず重要なのは、胸水を取り除いて呼吸を楽にすることです。
胸腔穿刺によって胸水を排出すると、多くの場合すぐに呼吸が落ち着きます。
ただし、乳び胸は再発しやすく、一時的に改善しても時間がたつとまた胸水が溜まってしまうケースがよくあります。

そのため、原因に応じた根本治療も重要です。
腫瘍が見つかった場合は腫瘍治療、心疾患が背景にあれば心臓病の治療を行います。
外傷が原因で胸管が破れている場合は、自然回復を待つこともあれば、外科的な対応が必要になる場合もあります。

 

<内科的治療>
内科的治療では、一頭一頭の状態に合わせ、以下のような「食事・栄養管理」を中心に行います。

低脂肪の食事管理:リンパ液の量を減らす
MCT(中鎖脂肪酸)による栄養補給:リンパ管への負担をかけないエネルギー源となる
サプリメント「ルチン」の摂取:乳びの代謝・再吸収を促す

 

<外科的治療>
内科治療で改善が難しい場合には、以下のような外科手術を検討することがあります。

胸管結紮術(きょうかんけっさつじゅつ):乳びの漏れ出し元である「胸管」を糸やクリップで縛り、物理的に胸への漏出を遮断する手術です。
心膜切除術(しんまくせつじょじゅつ):心臓を包む膜(心膜)の一部を切除する手術です。心臓周囲の圧力を下げることで、滞っていたリンパ液が血管(静脈)へスムーズに戻るよう促します。

手術によって長期的に安定する場合もあるので、治療の選択肢として知っておくとよいでしょう。
乳び胸は再発率が高い病気です。改善しても定期的な通院や胸水の量のチェックを続けることで、より安全に過ごすことができます。

 

【予後】

乳び胸の予後は原因によって異なります。
特発性の場合は内科治療で落ち着くこともありますが、腫瘍や重度の心疾患が背景にある場合は慎重な管理が必要になります。

また、慢性化して胸膜が厚くなると、呼吸の改善に時間がかかるケースが目立ちます。
胸水が減っても、肺が元のように広がるまで時間が必要になることもあり、継続したケアが欠かせません。

 

<ご自宅でもできること>
以下は、乳び胸の発症後にできるホームケアの一例です

・呼吸のスピードを確認する(普段より速い・荒いなどの変化)
・低脂肪のフードへ切り替え、脂肪分の多いおやつを控える
・喉が渇かないよう、水分をとりやすい環境を整える
・抱き上げが負担になりそうな時は避け、呼吸しやすい姿勢をそっと保たせる

呼吸の変化は動画で記録しておくと、診察時の判断にも役立ちます。さらに、普段から落ち着いている時の呼吸の様子もあれば、比較ができて診察時にも役立ちます。

犬や猫の乳び胸は適切に管理すれば改善する可能性がありますが、重症化すると命に関わるケースもあります。
また、乳び胸は再発の恐れもあるため、定期健診の活用や専門的なフォローを続けることが安心につながるでしょう。

当院では、原因の精査から治療・手術、再発予防まで一連の診療をサポートしています。呼吸の変化が気になるときは、どうぞお早めにご相談ください。

 

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