犬・猫によだれが増える原因とは?口の痛みや歯の病気に注意
コラム
「最近、うちの子のよだれが増えた気がする」
こんな愛犬・愛猫の変化に気づいたことはありませんか?
「たかがよだれだし、少し様子を見てもいいのかな」と考える飼い主様も少なくありません。
しかし、急によだれが多くなったり、日常的によだれで口元が濡れていたりする場合、その背景には口の中の強い痛みや、気づきにくい歯の病気が隠れているケースがあります。
今回は、犬・猫によだれが増える主な原因や、受診すべきかどうかの見極めライン、そして動物病院での検査の流れについて、解説していきます。

■目次
1.犬・猫によだれが増える主な原因|まず確認したい口の中のトラブル
2.様子見でよい?受診を考えたいサイン
3.動物病院では何を確認する?口腔内チェックと検査の流れ
4.家庭でできる予防とお口のチェックポイント
5.まとめ|よだれの変化は、お口の異常に気づく大切なサイン
【犬・猫によだれが増える主な原因|まず確認したい口の中のトラブル】
犬や猫のよだれが異常に増えている場合、まずは口腔内のトラブルを疑う必要があります。主な原因として、以下のような病気やケガが挙げられます。
<歯周病>
歯周病とは、歯に付着した歯垢や歯石が原因で歯ぐきに炎症が起き、進行すると歯を支える骨まで溶かしてしまう病気です。
◆ 歯周病の症状例
・強い口臭
・歯ぐきの赤み
・歯のぐらつき
・食べづらそうにする様子
▼歯周病についてはこちらで解説しています
<口内炎、歯肉炎>
特に猫で起こりやすいのが、激しい痛みを伴うこともある口内炎や歯肉炎です。口内に広がる炎症によって、痛みだけではなく食欲や元気の低下にもつながっていきます。
◆ 口内炎、歯肉炎の症状例
・食欲が低下する
・口元を触られるのを嫌がる
・毛づくろいが減る
▼口内炎についてはこちらで解説しています
<歯の破折・欠け>
硬いおもちゃや骨などを噛んだあとに急によだれが増えた場合は、歯が欠けたり折れたりしている可能性を考慮しましょう。破折によって歯の神経(歯髄)が露出すると、強い痛みにつながることがあります。
◆ 歯の破折の症状例
・片側だけで噛む
・硬いフードを避ける
・遊びたがらず、元気がなくなる
▼歯の破折についてはこちらで解説しています
<異物、やけど、薬品・植物などの刺激>
おもちゃの破片や植物のトゲなどが口の中に刺さっているときや、熱いものを口にしてやけどを負ったときでもよだれが増加します。また、散歩中などに刺激のある薬品や植物を舐めてしまった際にも、口腔内が刺激されてよだれが溢れてくる場合があるでしょう。
◆ 口内の刺激の症状例
・前足で口元を気にする
・口をクチャクチャ動かす
・食べ物をこぼす、食べづらそうにする
<口腔内腫瘍、唾液腺の病気>
口の中にできもの(腫瘍)が発生したり、唾液を作る唾液腺に異常が起きたりすることでもよだれが増えます。「よだれに血や膿が混じる」という場合は、重大な病気が隠れているサインかもしれません。
口を開けたときに粘膜の腫れやしこりがないか、注意深く観察する必要があります。
◆ 腫瘍や唾液腺疾患の症状例
・片側だけ口元が濡れている
・口臭が強くなる
・顔や顎のまわりが腫れる
犬・猫の口の異常は飼い主様だけでは見つけにくいことも多いため、気になる症状があるときは早めに動物病院で確認しましょう。
なお、ご自宅で確認する際、無理に口を開けようとするのは避けてください。強い痛みがある場合、驚いて嫌がったり、思わず飼い主様の手を噛んでしまったりする危険性があります。
【様子見でよい?受診を考えたいサイン】
愛犬や愛猫のよだれが多いと感じたとき、今すぐ病院へ連れて行くべきか、それとも自宅で様子を見てよいのか迷ってしまう飼い主様は多いのではないでしょうか?
受診の緊急性を見極めるためのポイントをまとめました。
<一時的に様子を見やすいケース>
よだれが増えていても、以下のような状況で、かつ一時的なものであれば過度に心配しすぎる必要はありません。
・暑い日の散歩後や運動直後、興奮しているとき
・病院への移動など、緊張やストレスを感じているとき
・美味しそうなフードや好物のおやつを目の前にしたとき
これらは生理的な反応であり、短時間で落ち着くことがほとんどです。食欲や元気に変わりがなく、嫌な口臭や出血も見られない場合は、まずは様子を見てもよいでしょう。
ただし、症状が続く場合は受診をご検討ください。
<早めに受診したいケース>
一方で、以下のようなサインが見られる場合は、口の中に慢性的な痛みや病気がある可能性が高いため、早めの受診をおすすめします。
✅ よだれが多い状態が数日間にわたって続いている
✅ 口臭が明らかに強くなった
✅ 食事のときに食べこぼしが増えた
✅ 今まで食べていた硬いフードを避けるようになった
✅ 口元を触ろうとすると嫌がって怒る
✅ 歯ぐきが赤く腫れている、または出血がある
✅ 口の中にできものや腫れ、膿のようなニオイがある
さらに次のような場合は、すぐに動物病院へ連絡したい症状です。
✅ 何の前触れもなく、急に大量のよだれが出始めた
✅ 吐き気や嘔吐、足元のふらつき、けいれんを伴う
✅ 呼吸が荒い、またはハァハァと苦しそうにしている
✅ 中毒を起こす植物や薬品、異物を誤飲した疑いがある
犬や猫は本能的に痛みを隠す習性があります。元気そうに見えても強い痛みに耐えているケースも少なくないため、飼い主様が早めに気づいて受診につなげることが大切です。
【動物病院では何を確認する?口腔内チェックと検査の流れ】
動物病院ではまず、よだれが増えた時期や食欲の変化、硬いものを噛む習慣、誤飲の可能性などを問診にてお伺いします。
次に、顔の腫れや左右差を見たり、口元や顎のあたりに触れたりして、痛みの場所や異常がないかを調べます。
口腔内チェックでは、以下のような観点で丁寧に口や歯を確認します。
・歯石の付着具合
・歯ぐきの炎症(赤み)
・歯のぐらつきや破折
・口内炎やできものの有無
・触られて痛がる場所 …など
見た目だけではわからない歯の根元や顎の骨の状態を見るため、必要に応じて歯科レントゲン検査を行います。また、麻酔や処置が必要になる場合に備えて、血液検査で全身状態を調べることもあります。
痛みが強い子や詳しい確認が必要な子では、麻酔をかけたうえで口腔内を詳しく検査する場合があります。
<治療の選択肢>
検査結果をもとに、それぞれの原因に合わせた治療プランを立てていきます。
たとえば、以下のような治療の選択肢が考えられます。
歯周病 ▷ 麻酔下でのスケーリング(歯石除去)や抜歯
口内炎 ▷ 投薬治療
異物 ▷ 異物の除去
腫瘍・唾液腺の病気 ▷ 外科切除手術、専門治療
当院では、日常的なお口のトラブルへの対応や、健やかな口腔環境を保つための診療・予防に力を入れて取り組んでいます。
「よだれのことで受診してもいいのかな」とためらわず、お口まわりの気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
【家庭でできる予防とお口のチェックポイント】
当院では「予防歯科」の一環として、日々のデンタルケアについてもアドバイスを行っています。
ここでは、飼い主様に知っておいていただきたい日頃の観察ポイントと、ご家庭でできるケアのヒントをお伝えします。
<ご自宅でのチェックポイント>
毎日のふれあいのなかで、こちらの3つの観点からお口の状態をチェックしてあげましょう。
✅ よだれの状態:量は増えていないか、ニオイはきつくないか、よだれに赤み(血)が混じっていないかを確認します。
✅ 食事の様子:フードをしっかり噛めているか、飲み込みづらそうにしていないか、食欲や元気に変化はないかを見守ります。
✅ 口元への反応:お顔まわりを優しく撫でたとき、特定の場所を触られるのを嫌がらないかを確かめます。
これらを日頃から把握しておくと、動物病院を受診することになった際にも、獣医師へスムーズに状況を伝えることができます。
<毎日の歯磨き・デンタルケアは?>
歯周病予防の基本は、毎日の歯磨きです。歯垢が歯石になる前に、ブラッシングで汚れを落とすことが理想です。
ただし、すでに痛みや強い炎症がある場合は、無理なケアが逆効果になることもあります。
また、デンタルガムや歯磨きシートも手軽ですが、硬すぎるガムは歯の破折や痛みの悪化につながりかねません。
お口の状態に合ったケアを選ぶためにも、まずは動物病院で状態を確認し、最適なケア方法を相談してみてくださいね。
【まとめ|よだれの変化は、お口の異常に気づく大切なサイン】
犬・猫のよだれが増えたとき、歯周病や口内炎、歯の破折といった「口の病気」が隠れていることがあります。
「痛い」と言えない動物たちにとって、よだれの変化は数少ないSOSのサインです。愛犬・愛猫が隠しているかもしれない苦痛にいち早く気づき、ストレスのない口腔環境を守ってあげましょう。
京都南部・長岡京エリアで犬や猫のよだれやお口のトラブルでお悩みの飼い主様は、当院へお気軽にご相談ください。
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