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誤嚥性肺炎

呼吸器科

【病態】

誤嚥性肺炎は、本来食道を通るはずの飲食物や唾液、胃酸などが誤って気管に入り込み、それが原因で肺に炎症を引き起こす病気です。
誤嚥が起こると気道に入り込んだ異物によって肺の防御機能が低下し、細菌が繁殖して肺炎を引き起こすことがあります。重症化すると呼吸困難を伴うこともあるため、注意が必要です。

特に注意が必要な犬として、以下のようなケースが挙げられます。

シニア期の犬や猫:嚥下機能が低下し、飲み込みがスムーズにいかなくなることがあります。
短頭種(フレンチ・ブルドッグやパグなど):軟口蓋が長く、気道が狭いため、誤嚥しやすい傾向があります。
全身麻酔から回復した後の犬:麻酔の影響で嚥下反射が鈍くなり、一時的に誤嚥のリスクが高まります。

 

<誤嚥性肺炎の原因>

犬や猫が誤嚥性肺炎を発症する主な原因として、以下のようなものが挙げられます。

■犬の場合
胃液や食べ物の逆流による誤嚥
早食い(飲み込みが追いつかず誤嚥することがある)
咽頭麻痺や喉頭麻痺などの神経疾患による嚥下障害
巨大食道症(食道の運動機能が低下し、食べ物が正しく運ばれず誤嚥しやすい)
全身麻酔後の誤嚥(麻酔の影響で嚥下反射が鈍くなるため)
強制給餌時の誤嚥(特に流動食を与える際に注意が必要)

 

■猫の場合
誤嚥性肺炎の原因は犬と共通するものが多いですが、発生率は犬より低いとされています。
ただし、強制給餌が必要な場合や神経疾患がある場合は、誤嚥のリスクが高まるため注意が必要です。

 

【症状】

誤嚥性肺炎は、進行の段階によって大きく3つのステージに分けられます。

<初期段階(気道反応)>

誤嚥が起こると、気管や気管支が刺激を受け、粘膜がむくんだり収縮したりします。
その結果、呼吸が速くなったり、軽度の呼吸のしづらさが見られたりすることがあります。

 

<炎症反応の段階>

誤嚥した異物に対して体の防御機能が働き、炎症が引き起こされます。
炎症が進行すると、肺胞内に液体がたまり(肺水腫)、呼吸のしづらさが増すことがあります。

 

<重症化(細菌の二次感染)>

炎症が進行すると、細菌が肺に侵入し、細菌性肺炎を引き起こします。
この段階では、発熱や激しい咳、呼吸困難が顕著になり、治療が遅れると命に関わることもあります

なお、犬では咳や呼吸の異常が比較的目立つことが多いですが、猫は苦しくてもじっとしていることが多いため、飼い主様が異変に気づきにくいことがあります。
そのため、猫がいつもより静かにしている、呼吸が速くなっている(通常より浅く速い呼吸)、口を開けて呼吸している(口呼吸)、食欲が落ちているといった変化が見られた場合は、注意が必要です。

 

【診断方法】

診断は、いくつかの検査を組み合わせて行います。

・身体検査
発熱の有無や咳の程度を確認し、呼吸数や肺の音に異常がないかを詳しく調べます。
特に、発熱や肺の雑音・異常な呼吸音が確認される場合は、肺炎の可能性があるため、追加の検査が必要になります。

・血液検査
白血球の数や炎症の程度を示すマーカー(犬:CRP、猫:SAA など)を測定し、炎症の進行度を評価します。
また、重症例では敗血症などに進行していないか、全身の状態を把握することも重要です。

・レントゲン検査
肺炎の有無や炎症の範囲を評価するために行います。特に、犬では右中葉が罹患しやすいため、この部位に炎症が見られないかを確認します。
肺炎が進行すると、炎症を起こした部分がレントゲン画像で白く映るのが特徴です。

・超音波検査
肺炎の評価に有用であり、誤嚥性肺炎を含む肺炎の診断補助として、Bライン(肺の炎症による超音波所見)が増加していないかを確認します。
また、嘔吐や吐き戻しの原因となる腹部の異常がないかも同時に調べることがあります。

・内視鏡検査
麻酔をかけられる状態であれば、気管や気管支の内部を内視鏡で観察し、一部を採取して生検を実施する場合があります。
細菌やウイルスなどの微生物検査や、気管支肺胞洗浄液を解析することで、他の疾患を除外し炎症の有無を確認します。

 

【治療方法】

誤嚥性肺炎は呼吸機能に影響を及ぼし、重症化すると命に関わるため、重症例では入院治療が必要になります。
主な治療として、以下のような方法が行われます。

・酸素療法
低酸素血症が認められる場合に実施し、酸素供給を補助することで呼吸状態を改善します。

・抗菌薬の投与
細菌感染を抑えるため、適切な抗菌薬を使用します。
抗菌薬の選択は培養検査の結果や臨床症状に応じて調整されます。

・輸液療法
脱水の補正や全身状態の改善を目的に行われます。
ただし、重度の炎症により肺水腫が起こっている場合や、心疾患を持つ場合は、過剰な輸液が呼吸状態を悪化させる可能性があるため、慎重な管理が必要です。

入院中は、これらの治療を適切に組み合わせながら、呼吸状態の安定化と体力の回復を図ります。
また、状況に応じて追加の治療(気管支拡張薬、抗炎症薬、栄養管理など)が必要になることもあります。

 

【予後】

誤嚥性肺炎は早期に適切な治療を行うことで回復が見込める病気ですが、治療が遅れると重篤化し、命に関わることもあります。

特に高齢の犬や猫は嚥下機能や免疫力が低下することで重症化しやすく、回復に時間がかかることがあるため、日頃から呼吸の状態や健康状態をこまめにチェックし、異変を感じたらすぐに獣医師に相談することが大切です。

また、誤嚥性肺炎は初期症状が軽いため気づきにくいことも多く、わずかな変化に気づくことが早期発見のカギとなります。
普段と違う様子が見られた場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

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