気胸|動物病院をお探しなら、長岡京市にある乙訓どうぶつ病院へお任せください。

症例紹介

MENU
tel:0759583933
診療時間
9:00~12:00
13:00~15:00
16:00~19:30
受付時間
各診療終了30分前まで
休診日
土曜昼・日曜午後・祝日

気胸

呼吸器科

【病態】

気胸とは、肺を包み込む胸腔と呼ばれる空間に空気が漏れ出すことで発生する病気です。
本来、胸腔内は肺が正常に動くために陰圧が保たれていますが、気胸が起こるとこの陰圧が失われてしまい、肺が十分に膨らむことができなくなります。その結果として、呼吸が苦しくなり、酸素が体に十分に行き渡らない状態に陥ります。

気胸にはいくつかのタイプがあり、それぞれ発生の仕組みや危険度が異なります。

<外傷性気胸>

外部からの外傷(例: 交通事故、高所からの落下など)によって胸壁や肺が傷つき、空気が漏れ出します。

 

<自発性気胸>

肺そのものに病変(例: 肺の感染症、腫瘍、肺気腫など)があり、肺から空気が漏れます。

 

<緊張性気胸>

空気が胸腔に入り続け、外に排出されない状態です。このタイプは特に危険で、短時間で急激に症状が悪化し、重篤な呼吸困難を引き起こします。

最も多いのは外傷性気胸です。特に猫では、お外に出て猫同士のケンカにより発症してしまうこともあります。

気胸は放置すると、胸腔内に漏れた空気が肺を外側から圧迫し、呼吸がほとんどできなくなってしまう危険があります。適切な診断と治療が行われない場合、命に関わる危険性があるため、症状を見逃さないことが重要です。

 

【症状】

気胸の症状は、そのタイプや進行の度合いによって異なりますが、共通して以下のような異変が見られることがあります。

・呼吸困難
愛犬や愛猫が浅く速い呼吸をしている、または呼吸が苦しそうな様子を見せることがあります。お腹を大きく動かして呼吸をする「腹式呼吸」が見られる場合もあります。

・運動を嫌がる
散歩や遊びを突然嫌がるようになる、または軽い運動でもすぐに疲れてしまう様子が見られる場合があります。

・元気や食欲の低下
突然元気がなくなったり、食欲が減退したりすることがあります。これらの症状は全身状態の悪化を示している可能性があります。

・チアノーゼ
歯茎や舌が青白〜紫色になることがあります。これは体内が酸素不足に陥っているサインであり、特に緊急性が高い症状です。

・咳や喘鳴
気胸が原因で肺が十分に動かなくなると、咳やゼーゼーといった異常な呼吸音が聞こえることがあります。

これらの症状のいずれかが見られた場合は、できるだけ早く動物病院で診察を受けることが重要です。特に、呼吸困難やチアノーゼが見られる場合は命に関わる危険な状態である可能性が高いため、一刻も早い対応が求められます。

 

【診断方法】

気胸の診断は、以下のように身体検査と画像診断を組み合わせて行います。

<視診と触診>

呼吸の様子や胸部の動きに異常がないかを確認します。
また、胸部を軽く叩いて音の違いを聞き分けることで、胸腔に空気が溜まっている可能性を評価します。全身状態も同時に評価し、呼吸困難が見られる場合は酸素投与などを行います。

 

<胸部レントゲン検査>

胸腔内に空気が存在するかを確認する最も一般的な方法です。
気胸の場合、肺が小さく圧迫されている様子や、胸膜の間に空気が溜まっていることが画像で判断できます。レントゲン検査は、気胸の程度を判断するための重要な手がかりです。

 

<超音波検査(エコー)>

胸腔内の異常を確認するために超音波が使用されることもあります。

これらの診断手法を総合的に活用して、獣医師は気胸の原因や重症度を特定します。

 

【治療方法】

気胸の治療は、その原因や重症度に応じて異なります。以下の方法が一般的に行われます。

<酸素療法>

呼吸困難を和らげるために、酸素室や酸素マスクを使用して酸素を供給します。これは治療の第一歩であり、愛犬や愛猫が苦しさを感じにくくするために重要です。

 

<胸腔ドレナージ>

胸腔に溜まった空気を排出するために、胸部に管(チューブ)を挿入します。この処置によって胸腔内の陰圧を回復させ、肺が再び正常に膨らむのを助けます。特に緊張性気胸の場合には、迅速な対応が必要です。

 

<外科手術>

胸腔内の異常が深刻で、再発が予想される場合には外科手術が検討されます。例えば、肺に穴が開いている場合や腫瘍が原因の場合、手術によって異常部分の修復や摘出を行います。
手術は負担が大きい治療法ですが、根本的な解決や再発防止のために必要です。

 

<薬物療法>

感染症が原因の場合には抗生物質が使用されます。また、炎症を抑えるためにステロイド薬、痛みを軽減するために鎮痛薬が処方されることもあります。

 

【予後】

気胸の予後は、発生原因や重症度、そして治療を開始したタイミングによって大きく異なります。軽度の外傷性気胸であれば、迅速に適切な処置を行うことで比較的早く回復するケースが見られますが、他の臓器にも損傷が及んでいるような場合には予後が厳しくなります。
また、緊張性気胸や肺の病変が原因となっている場合、治療後も注意深い経過観察が必要です。このようなケースでは、再発リスクが高いため、定期的な検診を受けることが推奨されます。

気胸の治療とその後の健康管理には、飼い主様の積極的なサポートが欠かせません。普段から愛犬や愛猫の行動や健康状態を注意深く観察し、息苦しそうにしている、元気がない、食欲が低下しているなどの異変を感じた際には、迷わず動物病院を受診してください。

 

関連する病気はこちらで解説しています

 

WEB予約はこちら