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副鼻腔炎

耳鼻科

【病態】

副鼻腔炎(ふくびくうえん)は、鼻の奥にある「副鼻腔」と呼ばれる空間に炎症が起こることで発症します。人間でいう蓄膿症に似た病気です。

軽度であれば数日で回復することもありますが、炎症が長引いて慢性化したり、別の病気が関係していたりする場合は、治療に時間がかかることもあります。さらに、まれではありますが重い合併症を伴うこともあります。

副鼻腔炎の原因としては、感染症や鼻への外傷、異物の混入、鼻腔内腫瘍そして歯周病などの口腔内の病気が関係していることがあります。
こうした要因が引き金となって、副鼻腔の内側を覆う粘膜に炎症が生じると、膿や粘り気のある分泌物が溜まりやすくなります。これらの分泌物がうまく排出されなくなると、炎症が悪化し、症状が長引いてしまいます。

副鼻腔炎は、症状の持続期間や重症度に応じて「急性」と「慢性」に分類されます。

 

<急性副鼻腔炎>
発症から1〜2週間ほどで症状が現れるもので、早期に治療すれば回復が見込めます。

 

<慢性副鼻腔炎>
症状が数週間から数か月以上続き、粘膜の変化が進んでいるため、改善には時間がかかることがあります。

また、猫では慢性鼻炎が続いた結果、副鼻腔炎に進行するケースがよく見られます。
一方、犬の場合は歯周病が原因となる「歯原性副鼻腔炎」が多く、歯の治療と並行して対応する必要があることもあります。

 

【症状】

副鼻腔炎は「鼻の病気」と思われがちですが、実際には鼻だけでなく、顔まわりや目にもさまざまな症状が現れます。
主な症状としては、以下のようなものがあります。

くしゃみ繰り返し出る、頻度が多い
鼻水(透明から黄色、緑色まで性状はさまざま)
鼻づまり(片側だけ詰まることが多く、呼吸時に音が出ることもある)
目の下の腫れ(副鼻腔のひとつである上顎洞に炎症が広がった場合)
涙やけや涙が多く出る(鼻涙管が圧迫されることによって起こる
顔の左右非対称(慢性化すると骨の変形を伴うこともある
においがわかりにくくなる、食欲の低下(嗅覚が鈍くなることが原因)

特に注意していただきたいのが、「片側だけに出る鼻水」「目の下のふくらみ」「強い口臭」といったサインです。
これらは、風邪のような一過性の症状ではなく、副鼻腔の奥深くに炎症や異常が起きている可能性を示しています

また、猫は鼻の構造が複雑なため、軽い炎症でも呼吸が苦しくなったり、鼻詰まりが悪化したりしやすい傾向があります。
さらに、FIV(猫免疫不全ウイルス)FeLV(猫白血病ウイルス)といった基礎疾患を抱えている場合には、症状が目立たないまま重症化してしまうこともあるため、注意が必要です。

 

【診断】

副鼻腔炎を正確に診断するためには、見た目の症状だけで判断することは難しく、いくつかの検査を組み合わせて確認していく必要があります。

身体検査・視診
顔の左右差や鼻まわりの腫れ、目の下のふくらみがないかを観察します。
あわせて鼻水の状態や出方も確認し、必要に応じて口の中をチェックして歯周病や歯の根本の炎症(歯根膿瘍)がないかも調べます。

 

画像検査(レントゲン・CT検査
副鼻腔内に膿が溜まっていないか、骨に異常がないかを調べるためには画像検査が重要です。
特にCT検査では、骨の構造や副鼻腔の変化を立体的に詳しく見ることができるため、より正確な診断とその後の治療方針の決定に役立ちます。

 

鼻腔内視鏡検査
必要に応じて、全身麻酔下で細いカメラ(内視鏡)を鼻の奥まで挿入し、炎症の範囲やポリープ・腫瘍などの有無を直接確認することがあります。

 

細菌培養・感受性試験
鼻水や膿を採取して検査することで、どの細菌が関与しているかを特定できます。
その結果をもとに、効きやすい抗菌薬を選択することが可能になります。

 

【治療】

副鼻腔炎の治療方法は、原因や症状の重さ、慢性化の有無によって大きく変わります。すべての犬や猫に同じ治療が効果的とは限らないため、獣医師が状態を見極めたうえで、それぞれに合った治療を組み合わせていきます。

 

<内科的治療(薬による治療)>
抗菌薬の投与
細菌感染がある場合には、抗生物質の内服や注射での治療を行います。
細菌の種類によって効果のある薬が異なるため、できるだけ事前に培養検査を行い、「感受性試験」によって適した薬を選ぶことが望ましいです

 

消炎剤・ステロイド剤の使用
炎症が強い場合には、炎症をおさえる薬をあわせて使用することがあります。
ステロイド剤には、鼻腔や副鼻腔の粘膜の腫れを和らげて、症状を軽くする働きがあります。ただし、基礎疾患の有無や免疫の状態によっては使用を控えることもあります。

 

点鼻薬
抗菌薬や去痰薬を鼻に直接投与する方法もあります。
より直接的に副鼻腔へ作用させることができる一方で、投与を嫌がる犬や猫も多いため、無理のない範囲で工夫しながら使っていきます。

 

<外科的治療>
内科的治療だけでは改善が難しい場合や、症状が慢性化している場合には、外科的なアプローチを検討することもあります。

歯周病への対応
特に犬では、歯周病が原因で副鼻腔に炎症が広がってしまうケースが少なくありません。
この場合には、原因となる歯の抜歯や歯根部の洗浄、場合によっては歯肉の縫合などの処置が必要です。

 

鼻腔・副鼻腔の洗浄
慢性化した副鼻腔炎では、膿がかたく詰まり、薬が届きにくくなっていることがあります。
そのようなときには、全身麻酔のもとで副鼻腔内を丁寧に洗浄し、溜まった膿を物理的に取り除くことで、症状の改善が期待できます。

 

ポリープや腫瘍が見つかった場合
まれに、副鼻腔内にポリープや腫瘍ができていることがあります。
このような場合、できものの種類によっては切除手術が適応となる場合もあります。
また、猫で見られる鼻腔内リンパ腫などの場合は、早期の診断と化学療法を組み合わせた治療が重要です。

 

【予後】

副鼻腔炎の経過は、その原因や症状の程度、治療開始のタイミングによって大きく異なります。
適切な治療を早期に始められた場合には、良好な経過が期待できるケースも多く見られます。

 

<予後が良好とされるケース>
・急性かつ軽度の副鼻腔炎
・歯周病が原因で、早期に原因となる歯を抜歯・処置できた場合
・感染の原因が明確で、使用した薬剤にしっかり反応した場合

これらに該当するケースでは、治療開始から1〜2週間で症状が大きく改善することが多く、その後の再発も比較的少ない傾向にあります。

 

<慢性化・再発しやすいケース>
・副鼻腔内にポリープや異物が存在する場合
・猫の慢性鼻炎を背景に発症している場合
・FIVやFeLVなどにより免疫力が低下している場合
・アレルギー体質や、抗生剤が効きにくい多剤耐性菌が関係している場合

このようなケースでは、症状の改善までに時間がかかり、数週間から数か月にわたる治療が必要になることもあります。
また、いったん症状が落ち着いても再発しやすいため、継続的な通院と定期的な健康チェックがとても重要です。

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