猫の慢性鼻炎
耳鼻科
【病態】
猫の慢性鼻炎とは、鼻腔内の炎症が長期間持続する病気です。
くしゃみや鼻水が数日以上続いたり、呼吸が苦しそうに見えたりする場合は、単なる風邪ではなく慢性鼻炎の可能性があります。
症状が進行すると、咳や鼻づまりにより食欲減退や生活の質(QOL)が低下することもあります。
また慢性鼻炎が続いた結果、副鼻腔炎に進行するケースがよく見られます。
このような状態になると自然に改善することは少なく、早期の治療が必要です。
猫の慢性鼻炎は、単一の原因で起こるというよりも、複数の因子が関与することで慢性化していきます。以下に代表的な原因を挙げます。
・ウイルスや細菌による感染
・免疫機能の低下
・鼻腔内の構造的異常
・歯科疾患からの波及(歯原性鼻炎)
この中でも、猫ヘルペスウイルス(FHV-1)や猫カリシウイルス(FCV)、マイコプラズマ、クラミジアなどの呼吸器感染症は、慢性鼻炎の最も一般的な原因とされています。
【症状】
「猫がくしゃみを繰り返している」「咳や鼻水が長引いている」といったご相談は、実際の診療でも多く寄せられます。
慢性鼻炎の症状は初期では軽度なことも多く、見過ごされやすい特徴があります。
透明な鼻水や乾いた咳が何日も続く場合は、慢性鼻炎や他の呼吸器疾患の初期症状であることが少なくありません。
病気が進行すると呼吸器全体への影響が広がることもあるため、以下のような症状がある場合には一度病院へご相談ください。
・咳
・食欲の低下
・黄色や緑色の膿性鼻汁
・一側性の鼻血、または鼻の変形
・鼻詰まりによるいびき様の呼吸音
・透明〜白色の鼻水が1週間以上続く
・頻繁なくしゃみ(特に朝や刺激後に多い)
これらの症状が数日以上続く、または一時的に良くなっても再発を繰り返すようであれば、慢性鼻炎を含む持続性の疾患を考慮する必要があります。
早期に診断と治療を行うことで、症状の悪化や長期化を防げる可能性があります。
【診断方法】
慢性鼻炎の診断では、原因を特定するための検査を段階的に実施します。
・身体検査・問診:症状の経過、環境因子、既往歴を確認
・血液検査:全身状態の評価、感染や炎症の有無を調査
・画像検査(X線/CT):鼻腔・副鼻腔の構造的異常や腫瘍の評価
・ウイルス検査(FIV/FeLV):免疫不全の有無を確認
・細菌培養・感受性試験:抗生物質選択のための情報収集
・鼻腔内視鏡検査:異物・ポリープ・腫瘤などの視認と生検
これらの検査結果を総合的に判断することで、慢性鼻炎の病因と重症度を評価し、適切な治療方針を立てることができます。
乙訓どうぶつ病院では、耳鼻咽喉科・呼吸器疾患を専門とする獣医師が、猫の慢性鼻炎に対する診療を行っています。
獣医療において呼吸器科を専門に診療している病院は長岡京・向日エリアのみならず、日本全国でもまだそう多くはありません。
気管支鏡やCTなどの高度な設備を備えており、動物たちの苦痛が少ない方法で鼻腔内の状態を的確に評価したうえで、適切な治療方針を立てていきます。
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【治療方法】
慢性鼻炎は一度で完治することが難しい疾患であり、治療の目的は「症状の緩和と再発予防」です。以下のような治療法を組み合わせて対応します。
<内科療法>
細菌感染が疑われる場合には抗生物質を、ウイルス性が考えられるケースでは抗ウイルス薬や免疫調整剤を使用します。
鼻腔の加湿と抗菌成分の投与を目的に、ネブライザー(吸入療法)を取り入れることもあります。
また、アレルギーや慢性の炎症が関与している場合には、抗ヒスタミン薬やステロイド剤によるコントロールを行うこともあります。
<外科療法>
鼻腔内にポリープや腫瘍が確認された場合には、外科的切除が選択肢となります。
また、歯周病や根尖膿瘍など、歯に原因があると判断された場合には、問題となる歯の抜歯や処置を行います。
さらに、必要に応じて大学病院や二次診療施設との連携も行います。重症例・難治性の慢性鼻炎にも、責任をもって対応いたします。
<環境改善指導>
治療と並行して環境の見直しも重要です。
ハウスダスト、たばこの煙、芳香剤など、鼻腔を刺激する物質をできるだけ取り除くことで、症状の悪化や再発を防ぐことが期待されます。
慢性鼻炎は長期的な管理が必要となる病気です。再発を防ぎ、猫が快適に過ごせるよう、定期的な診察と飼い主様との連携が欠かせません。
【予後】
猫の慢性鼻炎は、治療により症状をコントロールしながら生活していく疾患です。完治が難しいケースでも、適切な治療とケアにより、快適な生活を維持することが十分可能です。
しかし、放置してしまうと鼻腔の炎症が深部へ広がり、気管支炎や肺炎、嗅覚障害、呼吸困難といった合併症を引き起こすリスクがあります。
「風邪かな」と様子を見るのではなく、くしゃみや鼻水が続くときには、早めの受診をおすすめいたします。
乙訓どうぶつ病院では、高い専門知識と豊富な経験知識で飼い主様と猫にとって最善の診療を目指し、一頭ずつ丁寧に対応しております。
猫の風邪のような軽い症状から他院でも治らなかった症状まで、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
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