呼吸器科について

当院は呼吸器専門診療を行っております。
獣医療において呼吸器科を専門とする病院はまだ少ないのが現状です。呼吸は、鼻や喉から肺まで複数の臓器が連動して行われるため、一口に「呼吸器の異常」と言っても症状は様々です。当院では、専門的な知識とCTや気管支鏡などの充実した設備を活かし、しっかりとした診断に基づいた治療を実施します。どこに問題があるのかを的確に見極め、呼吸が苦しい動物たちを少しでも早く助けられるよう努めてまいります。
担当医師紹介

中森 正也
- 所属・資格
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- 犬・猫の呼吸器臨床研究会
- 日本呼吸器学会
- 日本呼吸器外科学会
講演歴
2025年
・WJVF 第16回大会
「それ、猫の咳かもしれません!」
「吸入療法を知って治療の幅を広げよう」
「酸素うまく使えてますか?呼吸器疾患における酸素の役割」
・VETS ACADEMY(オンラインセミナー)
長期を見据えた慢性鼻炎/慢性咳の上手な治療管理
2024年
・第45回動物臨床医学会年次大会
エアロゾル吸入療法 1.ネブライザー療法
・令和6年度 獣医学術近畿地区学会
一時的気管内ステント留置後に抜去およびContinuous extraluminal tracheal prosthesis(CETP)により治療した犬の気管虚脱の1例
・VETS CHANNEL(オンラインセミナー)
稟告から紐解く診断と治療 第6回 「若齢」+「犬」+「発咳」
2023年
・令和5年度 獣医学術近畿地区大会
バルーン拡張術を実施した猫の鼻咽頭狭窄の7例
2022年
・JVBP第24回年次大会
咳が出る動物のご家族へのアドバイス
・Verms第3回年次大会
猫の慢性鼻汁に対するネブライザー療法の効果
2019年
・令和1年度 獣医学術近畿地区大会
口蓋から発生した咽頭粘液嚢胞により鼻咽頭狭窄を呈した犬の1例
執筆歴
2025年
・CLINIC NOTE
呼吸器疾患の新・臨床診療ガイド 第5回 画像検査②(鼻鏡検査、喉頭内視鏡検査、気管支鏡検査)
2024年
・犬および猫の治療ガイド2025
犬の慢性気管支炎 / 猫のクリプトコックス症
・CLINIC NOTE
犬と猫の咳嗽治療「虎の巻」〜一次診療でできる咳嗽の鑑別と治療〜⑥
一次診療での治療
2020年
・一般臨床医のための犬と猫の呼吸器疾患
軟口蓋過長症 / 鼻咽頭腫瘤状病変 / ラトケ嚢胞 / 犬の慢性気管支炎
乙訓どうぶつ病院の3つの特徴
最先端の知識

呼吸器疾患の診断と治療は、医学・獣医学の進歩とともに大きく発展しています。当院では、国内外の最新の学術情報や治療ガイドラインを積極的に取り入れ、常に新しい知見に基づいた診療を行っています。気管虚脱や慢性気管支炎、肺炎、肺腫瘍、上気道閉塞など、多様な呼吸器疾患に対し、原因の特定から治療、予後の管理まで一貫して行うことが大切です。そのために、学会や専門セミナーへの参加、最新の検査機器や治療法の導入を通して、常にアップデートされた医療を提供できるよう努めています。呼吸の異常は、年齢や犬種・猫種によって症状の現れ方も異なります。私たちはそれぞれの患者に最適な方法を選び、最新の知識と確かな経験をもとに、安心して治療を受けていただける医療を目指しています。
丁寧な診断

当院では、まず飼い主様から伺う日常での様子をとても大切にしています。呼吸の音(「ガーガー」「ブーブー」など)やいびきの有無など、ご家庭での状況を丁寧にお聞きし、症状の背景を詳しく確認します。そのうえで、体の中で何が起きているのかを正確に把握するために、聴診などの基本的な身体検査や血液検査、レントゲン検査を行います。さらに、必要に応じて透視レントゲン検査・気管支鏡検査・CT検査など、より詳しい検査をご提案し、原因の特定をおこないます。
ご家族に寄り添う「二人三脚」の治療方針

診断のあとは、ワンちゃん・ネコちゃんの状態や性格、そして飼い主様のご希望に合わせて、最適な治療方法をご提案します。投薬や内科的な治療で改善が見込める場合もあれば、外科的な治療が必要となる場合もあります。当院では、病気の進行具合や生活環境を考慮し、できるだけ動物たちの負担を少なく、無理のない治療を行うことを心がけています。また、不安なお気持ちを少しでも和らげられるよう、難しい専門用語は使わず、わかりやすい言葉で病気や治療の必要性を丁寧にご説明します。この病気には「今後どんな症状が出る可能性があるか」「そのときにどのように対応するか」といった治療の道のりを明確にし、ご家族と獣医師が一緒にゴールを目指します。動物たちだけでなく、ご家族にも「病院に来て良かった」「安心できた」と感じていただけるような診療を大切にしています。
呼吸器科治療の流れ
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step1
web予約
web予約(web予約はこちらから)の受付後、スタッフから折り返しお電話し、受診日を決定いたします。
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step2
受付・問診
受付後、問診票に基づき、呼吸の様子や咳の状態などを詳しくお伺いします。特に、来院時やお待ちいただいている間に、ぐったりしている、または呼吸が速いなど、動物の状態が急変した際は、遠慮なくスタッフにお声がけください。酸素室での緊急処置など、動物の状態を最優先に対応させていただきます。
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step3
身体検査
聴診器を使い、肺音や呼吸の音に異常(ゼーゼー、ヒューヒューなど)がないかを注意深く確認します。さらに、全身の様子を視覚と触覚で確認(視診・触診)させていただき、原因の特定のために必要な検査をご提案いたします。
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step4
検査
動物の状態に合わせてレントゲン検査、血液検査など必要な検査を実施いたします。呼吸状態が悪い場合は、酸素を吸入させながら安全に行える範囲で検査を進めるか、あるいは状態を落ち着かせる治療を優先し、安定してから改めて検査を実施いたします。わんちゃんや猫ちゃんの負担を最小限に抑え、安全を最優先に進めますのでご安心ください。
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step5
検査結果の説明・治療方針のご相談
検査が終わりましたら、結果をわかりやすくご説明いたします。レントゲンや血液検査の数値だけでなく、どのようなことが体の中で起こっているのかを、丁寧にお伝えします。そのうえで、診断結果をもとに今後の治療方針をご相談いたします。お薬による内科的治療で改善を目指すのか、外科的治療が必要なのか、あるいは経過観察が適切かなど、最適な選択肢をご提示します。
こんな症状はありませんか?
- よく咳が出る
- 呼吸の音がおかしい
- 呼吸が速くなる
- 鼻水が出る
- くしゃみが出る
- 痰が出る
- いびきがひどい
- 散歩に行っても元気がない
- すぐに息切れを起こす
このような症状がみられたら、呼吸器科の病気の可能性があります!
犬に多い呼吸器疾患
- 短頭種気道症候群
- 気管虚脱
- 慢性気管支炎
短頭種気道症候群
短頭種気道症候群とは、パグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリアなどの鼻が短い犬種に多く見られる、先天的な気道の構造異常によって呼吸が困難になる病気の総称です。特徴的な症状として、いびきやガーガー、ブーブーといった呼吸音、運動不耐性、そして熱中症になりやすくなることなどが挙げられます。
気管虚脱(きかんきょだつ)
チワワなど小型犬に多い病気で、気管が押しつぶされ「ガーガー」と苦しそうな咳が出るのが特徴です。肥満や首輪による圧迫は症状を悪化させるため、ハーネスの使用や体重管理が重要です。
慢性気管支炎
犬の慢性気管支炎は、原因不明の咳が2ヶ月以上続く病気で、特に中〜高齢犬に多く見られます。完治は難しいため、治療はステロイドや鎮咳薬で咳を抑え、生活の質(QOL)を維持することが目標です。肥満は呼吸の負担を増やすため、体重管理や禁煙などの環境整備も重要になります。
このような症状が出た場合ご連絡ください
・2ヶ月以上、持続的な咳が続いている
・中年齢~高齢になってから咳が出始めた
・咳以外の症状(発熱や元気消失など)はほとんどない
・運動をしたがらなくなった
猫に多い呼吸器疾患
- 猫喘息
- 膿胸
- 上部気道感染症
猫喘息(ねこぜんそく)
猫喘息は、ハウスダストなどのアレルギーで起こる呼吸器の病気です。発作的に「ゼーゼー」と苦そうに咳き込む(毛玉吐きに似る)のが特徴で、重症化すると呼吸困難も起こします。完治は難しいため、ステロイド治療と、掃除や禁煙などアレルゲンを減らす環境整備で症状をコントロールします。
このような症状が出た場合ご連絡ください
・発作的に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という苦しそうな咳をする
・床に低くしゃがみ込み、首を前に伸ばして咳き込む
・咳き込む様子が、毛玉を吐こうとしている時の仕草に似ている
膿胸
膿胸(のうきょう)は、細菌感染によって「膿(うみ)」が胸の中(胸腔)に溜まった状態です。胸水の一種であり、非常に重篤な感染症です。ケンカ傷や肺炎などから進行し、溜まった膿が肺を圧迫して重い呼吸困難を引き起こします。
上部気道感染症
「猫風邪」は通称で、上部気道感染症といいます。ヘルペスやカリシなどのウイルス感染が原因です。 主な症状は、人間の風邪のように、くしゃみ、鼻水、目やになどです。特に子猫や免疫力の低い猫は重症化しやすく、鼻詰まりで食欲が低下することもあるため注意が必要です。
このような症状が出た場合ご連絡ください
くしゃみを連発する
(最初はサラサラ、次第にネバネバした)鼻水が出る
・目やにが多く、目が開けにくそう
・涙目、結膜炎で目が赤く腫れる
・発熱してぐったりしている
鼻が詰まって食欲が落ちている
当院が行う検査内容
呼吸器の病気を正確に診断するため、当院では症状や状態に合わせて以下のような検査を組み合わせて行います。
問診・触診・聴診

ご自宅での様子を確認するためにも、第一に問診が不可欠です。
系統的な問診および身体検査から、その後必要な検査を提案します。
血液検査
通常の血液検査では、基礎疾患や体内の炎症の有無を確認します。
また、血液内のガスを分析する特殊な機械で、血液のpHや酸素濃度および二酸化炭素濃度などを測定し、肺機能を評価します。

血液ガス分析装置

血液生化学検査装置
X線・超音波検査
X線検査では頭部(鼻や喉)から胸部まで、呼吸器全体の状態を確認します。肺の異常なパターンや、息を吸う時と吐く時での気管や咽頭での変化を評価します。
また超音波検査では、レントゲン検査で確認された胸水や腫瘍をより詳しく評価します。また、呼吸器症状の原因の一つである循環器の異常を確認します。

短頭種気道症候群

胸水貯留

僧帽弁閉鎖不全症
透視X線検査
X線を連続照射することで、単純なX線検査では確認できない、呼吸器の動きを確認します。主に気管や咽頭での閉塞の有無を評価します。
CT検査
基本的に全身麻酔下で実施します。(状態により無麻酔でも実施します。)
骨に囲まれてX線検査では評価しづらい頭部の呼吸器を確認します。他の部位でも、X線より細かい評価が可能となり、手術支援や病変の特徴を把握するために有用です。

鼻咽頭腫瘤
内視鏡検査
基本的に全身麻酔下で実施します。(喉頭の評価は状態により軽度の鎮静でも実施します。)
喉頭、気管や気管支の内部を内視鏡で観察し、一部を採取して生検を実施します。細菌やウイルスなどの微生物検査や、気管支肺胞洗浄液を解析することで確定診断に近づきます。

気管

喉頭

鼻咽頭






