犬の尿が出ないのは危険信号!|排尿トラブルの原因と早期発見のポイント
コラム
愛犬が健康で元気に過ごすためには、日々の健康管理が欠かせません。その中でも排尿の様子に変化が見られた場合は注意が必要です。
排尿障害の主な原因には、尿路結石、膀胱炎、前立腺肥大などが挙げられます。
これらの疾患は、適切な治療を受ければ改善することが多いものの、放置すると症状が悪化し、命に関わる状態になることもあります。そのため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
今回は、犬の排尿トラブルに関する症状や原因、そして日常的にチェックしておきたいポイントについて解説します。
■目次
1.すぐに病院に行くべき危険な症状
2.尿が出なくなる主な原因
3.家庭でできる予防と対策について
4.まとめ
【すぐに病院に行くべき危険な症状】
排尿トラブルは放置すると命に関わる緊急事態になることもあるため、以下の症状が見られた場合は、一刻も早く動物病院を受診してください。
・頻繁にトイレに行くが尿が出ない
何度もトイレに行こうとするものの、ほとんど尿が出ない場合は膀胱や尿道が詰まっている可能性があり、非常に危険です。
・完全な尿閉(尿が全く出ない)
尿が全く出ない状態が続くと、膀胱に尿が溜まり続け、短時間で命に関わる危険があります。放置すると腎不全や中毒症状を引き起こす恐れがあります。
・激しい痛みを伴う症状
排尿時に強い痛みを感じ、鳴き声を上げたり震えたりする場合は、尿路に深刻な問題が起きている可能性があります。
・腹部の膨張や触ると痛がる
膀胱に尿が溜まりすぎると腹部が張り、触れると痛がることがあります。これは危険なサインです。
・大量の血尿
少量の血尿は膀胱炎の可能性もありますが、大量に出る場合は腫瘍や重度の炎症が疑われ、早急な対応が必要です。
普段の正常な排尿状態を把握しておくことで、異常に気づきやすくなります。愛犬の排尿の回数、量、仕草、そして尿の色や臭いを日頃から観察する習慣をつけましょう。
また、尿が全く出ない場合や激しい痛みが続く場合は、命に関わる緊急事態ですので、夜間であっても迷わず受診してください。
事前に、自宅近くの夜間救急動物病院の場所や連絡先を確認しておくことも大切です。
【尿が出なくなる主な原因】
排尿できなくなる原因には、さまざまな疾患が関わっていることがあります。ここでは代表的な原因と、その特徴について解説します。
<尿路結石>
尿路結石は、尿中のミネラルが結晶となり、結石を形成することで発症する疾患です。結石が尿路を塞ぐと尿が出にくくなったり、痛みを伴ったり、全く出なくなることもあります。
<膀胱炎>
膀胱炎は、主に細菌感染が原因で膀胱に炎症が起こる疾患です。頻尿や血尿などの症状が見られ、進行すると尿が出にくくなることがあります。
<前立腺肥大>
前立腺肥大は、特に高齢の雄犬に見られる疾患です。前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、排尿が困難になることがあります。
去勢手術を行うことで、予防することができます。
<腎臓病>
腎臓の機能が低下すると、尿量が減少することがあります。特に、急性腎不全では尿量が著しく低下し、一刻も早く治療を開始する必要があります。
腎臓病は高齢に多い疾患ですが、誤食による中毒などでも発症するため注意が必要です。
<腫瘍>
尿道や膀胱に腫瘍ができると、尿の流れが妨げられることがあります。
<年齢や犬種によるリスク>
若い犬では尿路結石や膀胱炎が発症しやすく、高齢の犬では前立腺肥大や腫瘍が多く見られる傾向があります。
【家庭でできる予防と対策について】
愛犬の尿トラブルを予防するためには、日常生活の工夫が欠かせません。以下のポイントを参考に、愛犬の健康を守りましょう。
・十分な水分摂取
水分をしっかり摂ることで尿の排出が促され、尿路の健康をサポートします。
飲む量が少ない場合はウェットフードを取り入れたり、自動給水機を使ったりして、興味を引く工夫をしてみましょう。
・適切な運動量
適度な運動は、ストレスの軽減や尿路の健康を保つのに役立ちます。愛犬の年齢や体調に合わせて、散歩や遊びを取り入れましょう。
・食事管理
結石の形成を防ぐ専用フードを取り入れるのも良い方法です。食事は獣医師のアドバイスを受けながら、栄養バランスの取れたものを選びましょう。
・生活環境の整備
トイレの場所が不適切だと、愛犬が排尿を我慢してしまうことがあります。トイレは静かで落ち着いた場所に設置し、常に清潔を保つように心がけてください。
・定期的な健康診断
排尿トラブルの兆候がなくても、定期的な健康診断は欠かせません。特に年齢を重ねると腎臓や膀胱の異常が見つかりやすくなるため、半年から1年に一度の健康診断を受けることをおすすめします。
【まとめ】
犬の排尿トラブルは、早めに気づいて適切に対応することで改善が期待できるものがほとんどです。気になる症状があれば、迷わず動物病院に相談しましょう。
特に、尿が全く出ない、排尿時に痛がるなどの症状が見られる場合は、夜間でもすぐに対応することが大切です。
また、日頃からこまめな水分補給や適度な運動、バランスの良い食事、落ち着ける生活環境の整備を心がけてあげましょう。定期的な健康診断も受けておくと、愛犬の体調の変化に早く気づけるので安心です。
少しでも「普段と違うかな?」と感じたら、遠慮せず当院にご相談ください。
飼い主さんと動物たちのえがおのために
京都府長岡京市「乙訓どうぶつ病院」
~乙訓地域(長岡京市、向日市、大山崎町)、大原野、伏見、久御山、島本町~
診療案内はこちら