足を引きずるのはなぜ?犬や猫の歩き方の変化と受診すべきサイン
コラム
愛犬や愛猫が歩いている途中で足を引きずったり、歩き方がおかしく見えたりしたことはありませんか?
「少し休めば治るかな?」「一晩様子を見ても大丈夫だろうか?」と迷う飼い主様は少なくありません。
このように足を引きずる様子は「跛行(はこう)」と呼ばれ、一時的なトラブルで済むこともあれば、体の内部に重大な原因が隠れていることもあります。
そこで今回は、犬や猫の足の不調で考えられる原因や受診の目安をお伝えします。

■目次
1.犬・猫が足を引きずるときに考えられる主な原因
2.前足・後ろ足で違う?引きずり方から読み取れるヒント
3.こんな様子があれば早めの受診を|緊急性の見極めポイント
4.動物病院では何をする?検査・診断・治療の流れ
5.自宅でできるケアと「やってはいけないこと」
6.まとめ|足を引きずるサインを見逃さず、早めの相談を
【犬・猫が足を引きずるときに考えられる主な原因】
足を引きずる動きの背景には、いくつかの系統のトラブルが関係していることがあります。ここでは原因を大きく分けて整理します。
<整形外科的な原因>
骨や関節、筋肉に関わるトラブルが代表的です。捻挫や打撲、骨折、膝蓋骨脱臼(パテラ)、加齢による関節炎などがあると、痛みを避けるために足をかばう歩き方になります。
犬では前足や後ろ足のびっこ、猫ではジャンプを控えるといった変化として表れやすい傾向があります。
▼膝蓋骨脱臼についてはこちらで解説しています
▼骨軟骨異形成症についてはこちらで解説しています
<神経系の原因>
脳や背骨(脊髄)、神経に関わる異常があると、足そのものにケガがなくても動かし方や力の入り方に影響が出ます。
椎間板ヘルニアなどが代表的で、後ろ足がふらついたり、足の甲を地面に擦るように引きずったり(ナックリング)する場合は、神経のトラブルを強く疑う必要があります。
<その他の原因>
足先の小さな傷や爪のトラブル、肉球に異物が挟まっている、あるいはトゲが刺さっているなど局所的な問題でも歩き方は変わります。
また、特に猫では心疾患に伴う血栓などの血管のトラブルで急に足が動かなくなるケースもあります。
▼肥大型心筋症についてはこちらで解説しています
【前足・後ろ足で違う?引きずり方から読み取れるヒント】
歩き方に違和感があるときは、まず「どの足を、どう使っているか」に注目しましょう。
・片足だけを気にする場合:足自体のトラブル 骨、関節、筋肉、肉球などの異常(捻挫・骨折・パテラなど)が疑われます。
・両足(特に後ろ足)がふらつく場合:神経・脊髄のトラブル 椎間板ヘルニアなど、足をコントロールする神経の異常が疑われます。
犬は「歩き方がいつもと異なる」、猫は「高い所に登らない」などの行動変化に表れやすいため、日常の観察が大切です。可能であれば、動画を撮影しておくと診察の大きな助けになります。
<前足をかばう場合>
地面に足を着くのをためらい、体重をかけず浮かせるように歩くことがあります。
歩行中に頭が上下に揺れたり、着地した瞬間に頭を上げたりするなど、リズムの崩れが目立つこともあります。
▼橈尺骨骨折についてはこちらで解説しています
<後ろ足に違和感がある場合>
歩き方が不安定になり、踏ん張りがきかず腰が落ちるように見えることがあります。犬では腰を振るように歩いたり、猫では動く距離が極端に短くなったりします。
▼股関節形成不全についてはこちらで解説しています
▼レッグ・ペルテス病についてはこちらで解説しています
【こんな様子があれば早めの受診を|緊急性の見極めポイント】
足を引きずる様子を見たとき「様子見でよいのか」「すぐ病院へ行くべきか」は多くの方が悩むところです。
少しでも不安を感じる場合は早めに受診いただくことが安心につながりますが、まずは以下のポイントを参考に、来院のタイミングを考えてみてください。
<様子見でよい可能性があるケース>
元気や食事量に大きな変化がなく、挙上(足を完全に浮かせること)をせずに少し足をかばう程度で歩けている場合は、短期間の安静で落ち着くこともあります。
安静にすると動きが軽くなったり、触っても強く嫌がらなかったりする場合は、慎重に観察しながら様子を見る選択も考えられます。
<なるべく早めに受診を勧めたいケース>
「時間が経っても改善しない」または「悪化している」場合は速やかな受診をおすすめします。
また、以下の様子が見られた場合も、重症化しているか神経系の疾患の可能性があり、早期の受診が必要です。
・足を引きずる状態が続く
・「キャン」と鳴くような痛みがある
・触ると強く嫌がる
・歩き方の左右差が明らか など
<すぐに受診をするべき緊急ケース>
さらに、以下の場合は神経系や血管系の異常が疑われ、一刻を争う場合があります。
・足先が冷たい
・足の爪を立てた状態で引きずっている
・排泄がうまくできていない
・両後ろ足に症状が出ている
夜間であっても救急で診てもらうようにしましょう。
【動物病院では何をする?検査・診断・治療の流れ】
来院時には、まず歩き方の観察(歩様検査)や触診、神経学的なチェックを行います。
そのうえで必要に応じてレントゲン検査を実施し、骨や関節の状態を確認します。
神経疾患が疑われる場合には、さらに血液検査や、必要に応じて専門施設でのMRI・CT検査をご案内し、原因を丁寧に探ります。
当院では、CT検査が必要な場合は提携先の京都市内の病院にて行います。
そして、診断結果に応じて、安静や投薬、生活環境の調整、あるいは手術などを組み合わせた治療方針を検討します。
また、リハビリ計画からお家でのケアなど、当院ではしっかりと寄り添い回復を目指します。
▼当院のリハビリの一例はこちらで紹介しています
【自宅でできるケアと「やってはいけないこと」】

受診までの間は、段差の昇り降りを含む無理な運動を控え、フローリングにはカーペットを敷くなど安全に過ごせる環境を整えましょう。
犬の場合は散歩を排泄のみに留めたり、猫の場合はケージを活用して高い場所への移動を制限したりといった配慮が役立ちます。
一方で、自己判断でマッサージをしたり、人間用の鎮痛薬を使用したりすることは避けてください。薬は動物にとって有害、あるいは致死的な中毒を引き起こす恐れがあります。
また、痛みがある状態で様子見を長引かせないことも大切です。
自宅でできることはあくまで一時的な対応であり、根本的な解決には診察が必要になります。
また、受診後も動物病院と協力してリハビリをお家でも続けていただくことで再発防止や完治を目指していきます。
【まとめ|足を引きずるサインを見逃さず、早めの相談を】
足を引きずる仕草は比較的よく見られるものですが、背景には整形外科的な問題だけでなく神経疾患が隠れていることもあります。
少しでも不安を感じたら、早めに動物病院へ相談することが安心につながります。
当院では歩き方の評価から検査・リハビリまで一貫した診療フローを整えているので、お気軽にご相談ください。早期の行動が愛犬や愛猫の負担を軽くする第一歩になります。
飼い主さんと動物たちのえがおのために
京都府長岡京市「乙訓どうぶつ病院」
~乙訓地域(長岡京市、向日市、大山崎町)、大原野、伏見、久御山、島本町~
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