犬アデノウイルス感染症|動物病院をお探しなら、長岡京市にある乙訓どうぶつ病院へお任せください。

症例紹介

MENU
tel:0759583933
診療時間
9:00~12:00
13:00~15:00
16:00~19:30
受付時間
各診療終了30分前まで
休診日
土曜昼・日曜午後・祝日

犬アデノウイルス感染症

消化器科

【病態】

犬アデノウイルスには、1型(CAV-1)と2型(CAV-2)の2種類があり、それぞれ異なる臓器に影響を与え、症状も異なります。

 

<犬アデノウイルス1型(CAV-1) – 犬伝染性肝炎>

CAV-1は主に肝臓に感染し、犬伝染性肝炎を引き起こすウイルスです。このウイルスが体内に侵入すると、肝臓や腎臓、目、血管にダメージを与え、治療が遅れると命に関わることもある非常に深刻な病気です。

急性の肝炎を引き起こすのが特徴で、感染した犬の尿や糞便、唾液を通じて他の犬に感染します。

 

<犬アデノウイルス2型(CAV-2) – 犬伝染性喉頭気管炎>

一方で、CAV-2は呼吸器に感染し、犬伝染性喉頭気管炎という病気を引き起こします。このウイルスは「ケンネルコフ」として知られる症状の原因の一つで、気管や喉頭に炎症を起こします。

CAV-2は空気感染や接触感染で広がるため、特にペットホテルやドッグランのような犬が多く集まる場所では感染のリスクが高まります。

犬伝染性肝炎に比べると致死率は低く、多くの場合は自然に治りますが、感染力が強いため注意が必要です。

 

【症状】

<犬アデノウイルス1型(CAV-1)による症状>

CAV-1に感染した犬には、以下のような症状が現れることがあります。

発熱39.5℃以上の高熱が出ることがあります。

嘔吐や下痢:肝臓のダメージにより、消化器症状や血便が見られることがあります。

目の症状:角膜に炎症(ぶどう膜炎)が起こる場合や、回復期に角膜浮腫が見られて目が青白く見える「ブルーアイ」と呼ばれる状態になることがあります。

出血傾向血が止まりにくくなるため歯肉や皮膚に出血斑が現れることがあります。

お腹の膨らみ:肝臓が腫れることでお腹が膨らんで見えることがあり、これは肝炎による炎症や腫大が原因です。他の症状と一緒に見られることが多いです。

これらの症状が進行すると、肝不全や腎不全に至ることがあり、命に関わる危険性もあります。

 

<犬アデノウイルス2型(CAV-2)による症状>

CAV-2に感染すると、呼吸器に影響を与え、以下のような症状が見られます。

乾いた咳持続的な乾いた咳が特徴で、ケンネルコフの典型的な症状です。

喉の違和感:喉頭に炎症があるため、食べ物を飲み込むのを嫌がり、水を飲むときにむせることがあります。

くしゃみや鼻水:鼻や喉の粘膜に炎症が起こり、くしゃみや鼻水が続くことがあります。

元気と食欲の低下:犬が普段より疲れやすくなり、元気がなくなることがあります。

呼吸困難:症状が重くなると、呼吸が苦しそうになることがあります。特に、炎症が広がって肺炎になると、早めの治療が必要です。

CAV-2感染症は通常、命に関わることは少ないですが、重症化すると肺炎を引き起こすこともあるため注意が必要です。

 

【診断】

犬アデノウイルス感染症の診断は、主に症状の確認と検査結果に基づいて行われます。まず、犬の病歴や家での様子を詳しく確認した後、以下のような検査を行うのが一般的です。

 

血液検査白血球の数や肝臓の数値などを調べ、感染や肝臓の状態を確認します。

肝酵素の上昇や凝固障害の兆候が見られることがあり、これらは肝炎の進行度を把握するために重要な指標となります。

 

PCR検査:ウイルスの存在を確認するために行う検査で、ウイルスの遺伝子を直接検出するため、感染の確定に非常に有効です。

 

X線検査:呼吸器に問題がある場合に、肺や気管の状態を確認します。肝炎による腹水がないかも同時にチェックできます。

 

超音波検査:超音波でお腹の中を調べ、肝臓や腎臓の状態、腹水の有無などを確認します。

 

【治療】

犬アデノウイルス感染症には特効薬はありませんが、症状を和らげる対症療法が行われます。

 

犬伝染性肝炎の治療

肝臓や腎臓の機能をサポートするために、輸液療法を行います。また、細菌による二次感染を防ぐために抗生物質が使われますが、抗生物質はウイルスには効きません。

出血症状やDIC(血栓ができやすくなり、全身の血管に詰まりを起こす危険な状態)が見られる場合は、輸血が必要です。

これらの治療はほとんどの場合、入院で行います。

さらに、肝臓への負担を減らすために、低脂肪で高栄養の食事療法が併用されることもあります。

 

犬伝染性喉頭気管炎の治療
喉頭や気管の炎症を抑えるために、鎮咳薬や抗炎症薬が処方されます。感染が進行して肺炎が疑われる場合には、抗生物質の使用も検討されます。

基本的には、対症療法を1週間ほど続けることで回復することが多いです。

 

【予後】

犬アデノウイルス感染症の予後は、感染したウイルスの種類、治療開始のタイミング、そして犬の健康状態によって異なります。

 

<犬アデノウイルス1型(CAV-1)>

CAV-1による犬伝染性肝炎は重症化することが多く、早期の治療が非常に重要です。特に幼犬や体力の弱っている犬では、命に関わることもあります。

ただし、早期に治療を開始して適切な対症療法を行えば、回復する可能性は十分にあります。

 

回復後は、定期的に肝機能をチェックすることが大切です。これにより、再発や慢性化のリスクを早めに発見し、適切な対策を取ることができます。

 

<犬アデノウイルス2型(CAV-2)>

CAV-2による犬伝染性喉頭気管炎は通常は軽い症状で済み、適切な治療を行えばほとんどの犬が回復します。

重症になることは少ないですが、他の呼吸器の感染症が重なってしまうことがあるため、症状が長引いたり、再発したりする場合には追加の治療が必要になることがあります。

 

<予防>

犬アデノウイルス感染症を予防する最も効果的な方法は、定期的なワクチン接種です。ワクチンを受けることで、CAV-1とCAV-2の両方に対する免疫をつけることができます。特に幼犬は、ワクチン接種を行うことで感染リスクを大幅に減らすことができます。

 

ワクチン接種のタイミングや回数については、愛犬の状態に応じて獣医師と相談し、最適なスケジュールを組むことが大事です。ワクチンを受けても感染リスクを完全に排除することはできませんが、重症化を防ぐ効果が期待できます。

WEB予約はこちら