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鼻腔内アスペルギルス症

呼吸器科

【病態】

鼻腔内アスペルギルス症は、「アスペルギルス」という土壌に存在する真菌が鼻腔内や副鼻腔で増殖し、慢性的な炎症を起こす病気です。

単なる一時的な鼻水ではなく、炎症が長く続くことで鼻粘膜が傷つき、出血や痛みにつながることがあります。
進行すると、鼻の中の細かな構造が壊れるほか、周囲の組織まで影響が及ぶ場合もあります。

この病気が一般的な鼻炎と違う点は、片側から始まる鼻汁慢性化しやすい経過鼻血や痛みを伴いやすいところです。
また、はじめは片側だけの鼻水でも、時間がたつにつれて両側に広がることがあります。

慢性的な鼻炎、鼻腔内異物、歯の病気、鼻腔内腫瘍などと見分けがつきにくいため、長引く場合は原因を絞り込む検査が欠かせません。

 

【症状】

鼻腔内アスペルギルス症では、鼻水やくしゃみだけでなく、様子の変化として気づかれることもあります。

 

<鼻や鼻のまわりの変化>
鼻の奥で炎症が続くことで、鼻水だけでなく、鼻の周囲に目に見える変化が出る場合もあります。

黄色や緑色っぽい粘り気のある鼻水が続く
くしゃみがなかなか治まらない
・鼻血が出る、または鼻水に血が混じる
・鼻づまりのような呼吸音が出る
・いびきのような音が増える
・鼻の入口周辺が荒れる
・鼻のまわりがただれたように見える
・鼻の一部が白っぽく色が抜けたように見える

「少し鼻水が出ているかな」という段階でご相談いただければ、症状が悪化する前に原因を見極められ、治療の選択肢を広げやすくなります。

 

<行動や様子の変化>
鼻の奥に炎症や痛みがあると、日常の様子にも変化が表れます。

・鼻まわりを前足でこする
・顔を触られるのを嫌がる
・においを取りにくくなり、食事への反応が鈍くなる
・落ち着きがなくなる
・元気が落ちる
・眠りが浅くなる

このように、鼻腔内アスペルギルス症は鼻水の症状を引き金に、痛みが続いたり、不快感が積み重なったりして、生活の質(QOL)にも影響していきます。

 

<受診を考えたいサイン>
黄色や緑色っぽい鼻水が続くときはもちろん、症状が片側だけに偏っているときや、鼻汁に血が混じるとき痛みがありそうな様子がみられるときは、鼻の奥で強い炎症や組織の損傷の進行が考えられます。早めに詳しい検査で確認をしたいサインです。

特に、くしゃみや鼻血が繰り返されるのは、慢性の鼻炎ではなく、鼻腔内アスペルギルス症でみられる特徴的な変化のひとつです。様子見を長引かせず、早めにご相談ください。

 

▼鼻血についてはこちらで解説しています

 

【診断・治療】

鼻腔内アスペルギルス症を正確に診断するためには、鼻水やくしゃみといった見た目の症状だけで判断することは難しく、いくつかの検査を組み合わせて確認していく必要があります。

 

 問診・身体検査
症状がいつから続いているか、鼻水が片側か両側か、鼻血があるか、元気や食欲に変化がないかなどを確認します。
あわせて、鼻まわりの痛みや見た目の変化、顔を触られるのを嫌がる様子がないかもみていきます。
こうした情報は、腫瘍や異物、ほかの慢性鼻炎などとの見分けに役立ちます。

 

 画像検査(レントゲン・CT検査)
慢性的な鼻の病気では、レントゲン検査だけでは鼻腔や副鼻腔の変化が十分にわかりにくいこともあります。
特にCT検査では、鼻腔や副鼻腔の状態、骨の変化などをより詳しく確認できるため、アスペルギルス症が疑われる場合に有用です。
また、腫瘍や異物、ほかの慢性鼻炎との見分けや、その後の治療方針を考えるうえでも大切な検査となります。

 

 鼻腔内視鏡検査
全身麻酔下で細いカメラを鼻の奥まで入れ、病変を直接観察することがあります。
炎症の範囲や粘膜の傷つき具合を確認できるほか、真菌感染を疑う所見がないかを詳しくみていきます。

 

 検体採取・細胞診・病理検査・培養検査
鼻腔内視鏡検査などで採取した材料を調べることで、真菌感染かどうか、ほかの病気が隠れていないかを確認します。
細胞診や病理検査、培養検査を組み合わせながら、鼻腔内アスペルギルス症に近い状態なのか、別の原因なのかを見極めていきます。

その後の治療は、真菌に対する処置を中心に行います。
犬の鼻腔内アスペルギルス症では、抗真菌薬の投与のほか、鼻の中に直接抗真菌薬を注入する治療などが行われます。
あわせて、鼻血や痛み、炎症の程度に応じた治療を行い、経過をみながら再評価していきます。

当院は、呼吸器科・耳鼻科に強みをもち、慢性的な鼻水やくしゃみ、鼻づまりのような症状に対して専門的な診療を行っています。「なかなか鼻水が治らない」「CT検査で一度しっかり調べたい」というときはぜひご相談ください。

 

▼呼吸器科専門診療についてはこちらをご覧ください

 

【予後】

鼻腔内アスペルギルス症は、早い段階で原因にたどり着き、適切な治療につながれば、症状の改善を目指しやすい病気です。
一方で、放置をしてしまうと、鼻の中の炎症や組織の傷が進み、治療が長引くこともあります。
また、慢性化すると食事、睡眠、日常の快適さに影響し、愛犬にとっての生活の質(QOL)の低下につながりかねません。

「膿のような鼻水が片側から出続けている」「犬の鼻血が気になる」「犬のくしゃみが治まらない」といった変化が続くときは、慢性鼻炎として片づけず、早めにご相談ください。
また、すでに鼻水の治療を受けていても改善が乏しい場合は、別の原因が隠れていないかを見直すために、セカンドオピニオンとして当院にご相談いただくこともできます。

 

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